囲碁界歴代5位のタイトル通算48期を獲得した大竹英雄名誉碁聖(79)が15日付で引退届を出し、東京・市ケ谷「日本棋院」で同日、記者会見を行った。引退に際し、同い年のライバルだった林海峰名誉天元をはじめ、多くの棋士からコメントが寄せられた。

【林名誉天元】 とにかくびっくりで。ちょっと、もう本当に寂しいです。まだまだ頑張れるのかなぁと。それこそ院生(プロ棋士養成機関)時代から、入段(プロデビュー)も1年違いで、年齢も同い年で、ずっと一緒だったので。寂しい限りですが、これからも元気で碁界のためにまだまだアドバイスをもらいたいです。いやぁ寂しい。

【24世本因坊秀芳(石田芳夫九段=73)】 大竹さんとは入門したときからお付き合いさせていただいております。木谷先生のお供で、当時新初段であった大竹さんが名古屋に来られた時、指導碁を打ってもらいました。負けましたが、プロと打った最初の碁です。木谷道場(神奈川県平塚市)に入ってからも、大竹さんが独立するまで3年近くお世話になり、四谷に道場が移ってからも時々教えてもらいました。年齢は6つ離れていますが、教わったことは多いです。その後、名人戦などでたくさんタイトルを争いましたが、独特の才能がある碁打ちで、囲碁界には数多くいる天才の1人であると思います。私はその独特の感覚についていけず、ずいぶんとひどい目に遭いました。竹林(チクリン)と並び称され、囲碁界に大きな貢献をされたと思います。本当にお疲れさまでした。

【日本棋院・小林覚理事長(62)】 大竹先生は、棋士として美学という信念を持ち、数多くの囲碁ファンを魅了して来られました。大竹先生の碁にあこがれる棋士はとても多く、超一流の戦績を残された一方で、囲碁界の発展のために大変なご尽力をいただきました。日本棋院として大変感謝しております。今後も引き続き囲碁界を見守っていただきたいです。

【井山裕太5冠(32)】 長きにわたる現役生活、お疲れさまでした。数々のタイトル獲得はもちろん、「大竹美学」と呼ばれる碁の美しさでも、囲碁ファンや私たち棋士に大きな影響を与えていただきました。個人的にも先生とはお会いするたびにいろいろなお話しをさせていただきましたこと、私にとって大きな財産になっております。今後もいろいろな形で囲碁界を支えていただきますよう、お願い申し上げます。