新型コロナウイルスの感染急拡大に歯止めがかからない。国内で新たに確認された感染者が21日、4万9854人となり、4日連続で過去最多を更新した。首都圏など13都県にも「まん延防止等重点措置」が追加適用され、大阪、京都、兵庫の3府県に加えて北海道、栃木県も政府に同措置の適用を要請した。静岡、福島、長野、島根、福岡、佐賀、大分の7県も要請準備に入った。政府は25日にも追加適用を決定する方向で、9日から適用中の広島、山口、沖縄3県と合わせて、全国の約6割にあたる28都道府県に地域が拡大する勢いだ。

事態は急激に悪化している。この日から同措置の適用が開始され、飲食店の営業時間や酒類提供の制限が本格化した東京都の新規感染者数は3日連続で過去最多を更新する9699人となった。前日の8638人を、わずか1日で1000人以上も上回り、1万人に迫る異常な感染スピードに見舞われている。また、全体の約半数にあたる4521人が、ワクチンを2回接種済みだった。

厚労省は21日、新型コロナ感染症の重症者が前日から117人増えて、404人になったと発表した。重症者が400人を上回るのは、昨年10月13日以来となる。感染力は強いが、重症化リスクは低いことが、オミクロン株の特性とされているものの、爆発的な感染拡大に伴って、病床使用率が、さらに上昇すれば、医療提供体制のひっ迫が現実のものとなりかねない。

岸田文雄首相は、この日午後の参院本会議で、新型コロナ感染者の濃厚接触者の待機期間を現在の10日間から短縮する方針を示した。「社会活動維持のために科学的知見の集約を急ぎ、オミクロン株の特性を踏まえた、メリハリのある対応を検討していきたい」と医療体制の維持と経済の両立へ先手を打つ狙いだ。

後手後手との批判を浴びた菅義偉前首相のワクチン接種政策によって、昨年10月以降は新規感染者数は減少傾向となった。岸田首相はコロナ対策で無風状態から一転、猛烈な逆風にさらされた。第6波の緊迫感は高まるばかりだ。【大上悟】