東京の下町・浅草(台東区)の大道芸人らが30日、ロシアからの軍事侵攻を受けているウクライナへの支援として、浅草奥山おまいりまち通りで「投げ銭ライブ」を実施する。

芸術文化アーチスト協会副会長で紙芝居師の“げんさん”こと源吾朗(げん・ごろう)さん(71)が発起人となり、効果音バイオリン奏者・早川きょーじゅさん、三味線奏者・絵美こさめさん、演歌歌手・岬ゆうじさん、寅さんモノマネ芸人・野口よういちさん、紙切り芸師・柳貴川起助さん、腹話術師・山田とこさん、シャンソン歌手・三苫なおみさんらが一堂に介する。

浅草を拠点とするげんさんは「路上で活動する大道芸人でもウクライナで必死で生きているみなさんに寄り添える社会貢献はできる。浅草で活躍する違う個性の腕利きが賛同してくれた。ありがたい」と話した。

決して思いつきではない。げんさんは1980年代後半、紙芝居に限らずジャグリングやパントマイムなど若手の大道芸人を養成する「遊学塾」を埼玉・川越市で設立。その塾生から1990年11月の長崎・雲仙普賢岳噴火で被災した人たちに向けた支援金を集める路上パフォーマンスをやりたいと懇願された。

当時を振り返りげんさんは「塾生もお金はなかった。でも、困っている人に自分の芸がなんらか役に立つのではないかと立ち上がってくれた。今回のウクライナへの支援はそこからつながっているんです」と話す。

以後、95年阪神淡路大震災、04年新潟中越地震、11年東日本大震災、16年熊本地震など困っている人への支援活動を継続し、実施してきた。げんさんは「だって、これしかできない」と気持ちこめてつぶやき「阪神淡路のときは神戸市にも行って、学校の体育館で紙芝居ボランティアもやった。そのつながりで地元の小学生が被災したことを手作りの紙芝居にまとめたり…芸ごとがきっかけで踏み出せる一歩もあると思っている」とにっこり笑った。

30日は、浅草寺西側の奥山門付近で午後1時から開演の予定。後日、集まった投げ銭を支援金として寄付をする。【寺沢卓】