今年4月、藤井聡太竜王(19)を初めて招いて「人間将棋」を復活させた山形県天童市が、来年の市制65周年に向けて新たなミッションに動きだした。「1人残らず将棋を指せる」「プロ棋士を出す」という看板を掲げた。同市は、全国の将棋駒の約95%を生産している「将棋の町」。ただし、次世代の将棋熱は低く、出身のプロ棋士はいない。史上最年少5冠の誕生、コロナ禍で控えていた名物行事の復活を契機に、振興策として地元から盛り上げようとしている。

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将棋界と結び付きの深い天童の、全国でも例のない取り組みに敬意を表します。市民(人口約6万人)全員が将棋を指せ、その中からプロ棋士を誕生させるとは、夢のあるお話ではありませんか。街の発展にも将棋の発展にもつながりますよ。

藤井聡太5冠の出身地、愛知県瀬戸市は初タイトル獲得時に大変な盛り上がりだったそうです。天童からプロ棋士が初めて出たとか、タイトルを取ったとなれば、もっと大きな盛り上がりになることでしょう。

私も王将戦や名人戦といったタイトル戦、人間将棋の解説やゲストでおじゃましています。思い入れのある市ですし、講師としてお手伝いできるのであれば、喜んで引き受けましょう。ほかの棋士も同じ思いではないでしょうか。(加藤一二三・九段)