就任後初めて来日中のジョー・バイデン米大統領(79)は23日、東京・元赤坂の迎賓館で岸田文雄首相(64)と会談。軍事力を急拡大する中国を念頭に、米国が核兵器と通常戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」確保へ緊密に協議することで一致し、同盟強化を図った。バイデン氏は共同会見で、中国が台湾を攻撃した場合の軍事的関与を明言した。

岸田氏はウクライナ情勢を踏まえ、国連安全保障理事会改革の必要性を指摘。バイデン氏は、改革された安保理の常任理事国に日本が入ることを支持した。岸田氏はまた、日本が議長国を務める来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)について、広島市を開催地とすると表明した。

バイデン氏は精力的に日程をこなした。午前には皇居・御所で天皇陛下と約30分間会見。出迎えた陛下は英語であいさつを交わし、笑い声を上げる場面も。皇太子時代の13年にも、副大統領として来日したバイデン氏と懇談された。午後には、北朝鮮による拉致被害者家族とも面会。椅子に座った横田めぐみさんの母早紀江さん(86)に膝を突く体勢を取って抱擁し「あなた方の気持ちはよく分かる。同じ気持ちだ」などと語りかけた。

岸田氏は共同会見の冒頭で「ジョー、ウエルカム・バック・トゥー・ジャパン」と英語で呼び掛けるなど、もてなしに努めた。迎賓館での昼のワーキングランチでは、神石牛のフィレ肉のグリルなど広島の食材を使った料理が振る舞われた。夜には、日本庭園や茶室がある東京・白金台の八芳園に招いた。和装の裕子夫人がお茶でもてなし、料亭「壺中庵」で夕食をともにした。政界随一の酒豪として知られる岸田氏に対し、バイデン氏は酒を飲まず、アイスクリームが大好物。2人がどう信頼関係を深めたか注目される。バイデン氏は2泊3日の日程。24日、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会合に出席後、離日する。