将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=19)が22日、名古屋市の複合商業施設「ミッドランドスクエア」25階に新設された名古屋将棋対局場で指された第81期順位戦A級の初戦で、佐藤康光九段(52)を101手で破り、白星発進した。

終局は日付が変わった直後委の23日午前0時2分。地上約120メートル、新設された「天空の対局場」のこけら落とし対局でのA級初勝利に「地元で対局できることはとてもうれしく、すごく快適に対局することができた」と喜んだ。

名古屋将棋対局場のこけら落としとなった一戦は藤井の先手番で、戦型は後手向かい飛車の対抗形となった。夕食休憩後、9筋をめぐる攻防戦になり、リードを少しずつ広げた藤井が佐藤の穴熊の堅陣を攻略した。

終局後、藤井は「中盤でいくつか誤算が重なってしまったところがあったので、そこは反省点だったのかなと思います」と振り返った。もう1つのこけら落とし対局、藤井の師匠で名古屋市在住の杉本昌隆八段(53)は順位戦B級2組1回戦で佐々木慎七段に敗れたが、師弟で深夜まで熱戦を繰り広げた。藤井は「東海地方の将棋界の盛り上がりにつながれば」と語った。

名人奪取の最年少は谷川浩司17世名人(60)の21歳2カ月。今期、藤井がA級で優勝して挑戦者となり、来年4~6月に開催予定の名人戦で渡辺名人から名人位を奪取すれば、史上最年少の「20歳名人」が誕生する。【松浦隆司】