政党にとどまることができるのか、ただの政治団体になって諸派扱いされるのか。77年の歴史を持つ党の存亡が懸かる参院選に、社民党の福島瑞穂党首(66)が「本当に正念場です」と声をからしている。

昨年の衆院選で社民党の得票率は1・77%だった。公職選挙法が定める政党要件は(1)所属国会議員が5人以上(2)直近の衆院選、参院選のいずれかで得票率が2%以上-のどちらかを満たすこと。所属国会議員が2人で、今回、比例代表で出馬する福島氏が改選を迎える社民党は、4人を当選させるか、2%以上の得票率を確保しないと、政党要件を失う。2013年以降、参院選では当選1人の社民党にとって4人のハードルは高く、2%確保が絶対目標となっている。

「2%は120万票で、1人当選するのに必要なのも120万票です。朝日新聞の序盤情勢調査では社民党は0~2でした。0というのは120万票に届かない、社民党は政党要件を失い、私も国会に戻れないということです。国会に社民党は本当に必要です。ブレずに脱原発、憲法改悪反対を言い続ける政党がなくなると、大変なことになる。社民党にとっても、私にとっても、日本国憲法にとっても、日本の社会、政治にとっても正念場だと思っています」(福島氏)。

前回19年の参院選の得票率は2・09%。NHKから国民を守る党(NHK党)の1・97%とほとんど変わらなかった。翌20年に当時所属国会議員4人の党は分裂し、吉田忠智幹事長、吉川元副党首は離党した。地方議員、党員も二分され、大きく減った中で行われる選挙戦。知名度の高い福島氏の個人票も04年の64万票から10年は38万票、16年は25万票と漸減している。

98歳になった初代党首の村山富市元首相は、機関紙「社会新報」6月29日号に「参議院選挙報道はわが社民党に厳しいものばかり伝わってきます。私はこの春、98歳になりましたが、体力の許す限り頑張ります。全国の仲間の皆さん、ともに頑張りましょう」と激励文を寄せた。27日、静岡から鹿児島まで陸路で回る3泊4日の東海、近畿、中国、九州遊説をスタートした福島氏は明日29日、大分に入る。村山氏の自宅を訪問する予定だ。【中嶋文明】

◆政党要件を満たさないと 衆院選小選挙区では重複立候補ができず、政見放送が流せなくなる。ビラも11万枚から7万枚に制限され、選挙カーも2台から1台になる。参院選では選挙区、比例区で計10人以上擁立しないと、比例区に候補者を立てることができなくなる。政党助成法は、直近の選挙だけでなく、参院選についてはその前の結果も考慮するため、19年の参院選で得票率が2・09%だった社民党の場合、仮に今回、政党要件を失っても25年までは政党交付金を受け取ることができる。

◆社民党 1945年結党の日本社会党が前身で、既存政党としては22年に結成され、100年を迎える日本共産党に次ぐ歴史を持つ。最盛期の59年には衆院166人、参院85人、計251人が所属。94年、自社さ連立の村山政権で日米安保堅持、自衛隊合憲など政策転換した。96年、社民党に改称。