キャスター池上彰氏(71)が10日、第26回参院選のテレビ東京系選挙特番「池上彰の参院選ライブ」(午後7時50分)に生出演し、番組終盤に行われた視聴者アンケートで、今回の切れ味について「鋭くなかった」という意見が半数以上の56%に及んだことに苦笑いを浮かべた。

同局と池上氏による選挙特番は今年で12年目。「家族で楽しめる」ことを大きなテーマとしており、池上氏の忖度(そんたく)なしの政治家へのインタビューや、ユーモアあふれる切り口で描く候補者プロフィルなどが人気となっている。長年、高い視聴率を維持しており、これまで「菊池寛賞」や「ギャラクシー賞優秀賞」なども受賞してきた。

番組終了約20分前に「“池上無双”の切れ味は…」という質問でアンケートをとると、「鋭かった」が44%、「鋭くなかった」が56%となり、否定的な意見が多数となる結果に。池上氏は「そろそろ退任しろと言うことですかね」と苦笑いし、「厳しい意見をありがとうございます」と語った。

今回は直前の8日に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件などの影響で内容変更を余儀なくされていたといい、池上氏は「特番の使い方、やり方を考え直した方がいいんじゃないかという意見もありまして、これまでに比べて抑えているところもありました。それが切れ味がなくなっている、そういうところなのかなと思っています」と自己分析も口にした。

最後は視聴者へ向けてメッセージも送った。「電力不足、物価高が重くのしかかる中、突然起こった安倍元総理の悲劇は、これまで安心、安全な社会を誇ってきた私たちに大きなショックを与えました」と切り出し「私たちはそれぞれ焦燥感を抱きながら、投票所に足を運びました。民主主義を守るために投票したという方もいらっしゃったのではないでしょうか」と語りかけた。

続けて「しかし、民主主義とは極めてもろいものでもあります。選挙は確かに民主主義を支えるものですが、選挙だけで民主主義を支え続けることはできません。それだけに私たちが選んだ政治家をチェックし続けていくこと、それが民主主義を守ることになるのではないでしょうか。長時間にわたり、ありがとうございました」と締めくくった。

番組は午後7時50分から同11時40分頃まで約4時間にわたって放送。岸田文雄首相ら各政党の代表らへの中継インタビューのほか、6月に18歳を迎えたばかりの俳優鈴木福、勝俣州和(57)、宮崎美子(63)らもゲスト出演し、議論を行った。池上氏の53歳下の鈴木からの直球質問などの解説や、最新のXR技術による映像演出などでも番組を盛り上げた。