岸田文雄首相は14日夕の記者会見で、全国的に感染が急拡大している新型コロナウイルス対応について「感染者数は増えていますが今のところ重症者数や死亡者数は低い水準にある。病床使用率も上昇傾向にあるものの、総じて低い水準にある」とした上で「新たな行動制限は現時点では考えていない」と明言した。

岸田氏は「これまで6回の感染の波を乗り越えて来ました」と、第7波到来という表現は避けたが、感染者の急増は各地で続いている。感染が広がりやすいとされるオミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりが進んでいるのが一因。重症者、死者数は低い水準にあるが、病床使用率は上昇傾向にある。この状況に対して政府は、ワクチンの4回目接種の対象を全ての医療従事者や高齢者施設の職員に広げるなどの対策を明らかにした。接種の新たな対象は約800万人。人の移動が増える夏休みに合わせ、主要駅や空港で100カ所以上の臨時の無料検査拠点を整備する。

4回目接種の対象拡大は、高齢者など重症化リスクの高い人を守り、医療提供体制の人員を確保するのが狙い。22日に開く厚生労働省の審議会の議論を経て来週以降、接種を進める。現在は60歳以上と、18~59歳で持病がある人などが対象。若い世代の有効性を示すデータは十分といえず、対象拡大に慎重な意見も根強くある。