東京五輪・パラリンピック組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)の事件が、なぜ今になって吹きだしたのか-。

その点について発信した前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏(73)のツイッター発言をきっかけに、五輪招致に携わった元都知事で作家の猪瀬直樹参院議員(75)が19日、なぜ「カネのかからない五輪」が歪められていったのか、持論を展開した。

舛添氏は18日にツイッターで「新国立競技場の建設費の国と都の分担につき、猪瀬元都知事と(自民党)下村(博文)文科大臣の密約に悩まされた」とコメントし、「組織委の高橋元理事が逮捕されたが、五輪には闇が多かった」と回想。組織委元理事で大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス(HD)側から5100万円を受け取ったとして受託収賄の疑いで逮捕された高橋治之容疑者の事件にも触れた。

だが、19日に猪瀬氏はツイッターで反論。「これは大間違い。下村大臣が『都が5割負担すると約束していると聞いている』と主張したが『それは森さんの2016年五輪招致の都立競技場の記憶であり、2020年五輪は新国立なので都側の負担は原則なし、あるとしたら受益者負担のみ』と説明してある。舛添さんは森さんの間違った情報を鵜呑みにしたのでしょう」とした。

16年五輪招致時は、東京・晴海に「都立」の新競技場建設を予定していた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長(85)らは建設費1000億円、国と都が500億円ずつ分担することを想定していた。「東京2020」招致の新国立競技場は基本的には国が負担。都は受益者負担として都営地下鉄の駅や都立公園などの整備に関わる部分を受け持つ形となったと猪瀬氏は語る。

18日、舛添氏は「猪瀬都知事は2013年12月に辞任。翌年2月9日の都知事選で私が当選。東京五輪組織委はなぜか都知事不在の1月24日に発足。2月12日に私が初登庁したときには全てが決定済み。理事数の上限を1人増やして6月に高橋理事就任。都とJOC(日本オリンピック委員会)が出資した組織委なのに、都知事の私が人事の説明を聞いたことは一切ない」とも、ツイッターで言及した。

猪瀬氏は「招致を勝ち取ったあと、招致委員会から組織委員会へ切り替えるにあたって、無駄なコストをかけずに透明性を高めるために組織委の会長を誰にすべきかを考え、民間人でカイゼンで有名なトヨタ名誉会長の張富士夫さんに白羽の矢を立てた。実際にお会いして内諾を得た。ところが森喜朗さんが猛烈に反対し始める。こうして森さんと安倍晋三元首相との会談が行われた。僕が都知事を辞任することになり、結果として不透明な組織委員会体制が誕生し、うみがたまっていった」と当時を振り返った。