囲碁の上野愛咲美女流立葵杯(21)と上野梨紗二段(16)の姉妹初対決が7日、東京・市ケ谷「日本棋院東京本院」で打たれた第34期博多・カマチ杯女流名人戦挑戦者決定リーグ戦で実現した。

午前10時から始まった対局は、午後4時12分、247手までで黒番(先手)の姉が中押し勝ち。2期ぶり2回目の挑戦権獲得へ、好発進した。序盤に姉が先制パンチを入れたが、中盤になって妹が盛り返す。最後はタイトルホルダーの貫禄を示して突き放した。

「最初、楽観視して気楽に楽しく打っていました。中盤になって嫌な感じがして、また当たったら大変だと思いました。想像以上に(姉妹対決は)いやだと思いました。昨日とかは結構楽しみにしていたのですが、打ってみたらストレスになりました」(姉)。

「自分がもうちょっと勉強していれば、もっていい勝負ができそうな気がします。緊張感が一切なくて気楽でした。姉のオーラも感じなくて、何か普通だなと思っていました。初のリーグでいつも通り打てましたが、負けると痛いと感じました」(妹)

リーグ戦の組み合わせ抽選が決まって約1カ月、都内の自宅でいつもより仲良しくらいの感じで食事も一緒にして、囲碁の話もしていた。ただし、対局前日になって妹が囲碁の話をし始めた時、姉は初めて拒否した。「すごく聞いてきたんですけど、前日だけは何も教えませんでした。妹に負けるのは早い気がして」と話し、報道陣を笑わせた。

自宅で囲碁の話はしても、2人で盤に向かうことはない。今年2月に研究会のリーグ戦で当てられて以来の対局だという。「その時は私が圧倒しました」と言うと、すかさず妹が返した。「そのころと比べると、だいぶ差はないかな」。強気な面をみせた。

藤沢里菜女流名人(女流本因坊=24)への挑戦権を争う7人総当たりの今期リーグは上野姉妹のほか、1回戦で対局がなかった牛栄子扇興杯(23)を除き、初戦で前期挑戦者の仲邑菫三段(13)が謝依旻七段(32)、小林泉美七段(45)が鈴木歩七段(39)をそれぞれ下している。