日本に鉄道が開業して150年を記念し「ぶらり鉄道」と題してローカル列車を紹介する。第3回は栃木・日光鬼怒川エリアを結ぶSLの旅、東武鉄道の「SL大樹(たいじゅ)」。
大樹の名前の由来は世界遺産、日光東照宮から連想される将軍の別称・尊称。そして、沿線を代表する観光スポットとなった東京スカイツリーのように、力強く大きく育ってほしいとの思いからつけられた。
乗車したSLはC11形207号。通常は1つの前照灯が2個ついており「カニ目」の愛称で親しまれている。客車は昭和30年代をイメージし、どこか懐かしく温かみがある。また、展望車両も設けられ、風やSLの煙、汽笛の音を感じることができる開放的な空間となっている。
車窓からは日光の清流、山々を見ることができ、季節によって変わりゆく景色が魅力的だ。また、地域住民の手に寄って整備された倉ケ崎SL花畑など、沿線の人々とのつながりを大切にしていることが印象的だ。
SL大樹は2017年(平29)8月の運行開始から、今年で5周年を迎えた。その名のようにゆっくりと力強く走り続ける。
【撮影と文・足立雅史】