藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、将棋の第35期竜王戦7番勝負第6局(鹿児島指宿市「指宿白水館」)は3日、先手の藤井が勝って対戦成績を4勝2敗として、初防衛に成功した。2日午前9時からの2日制で始まった対局は、3日午後5時17分、113手で藤井が押し切り、これでタイトル戦11連勝とした。20歳4カ月での防衛は、2005年(平17)、第18期に渡辺明現名人(38)が達成した21歳7カ月を上回る、このタイトル戦の防衛最年少記録。

広瀬の4年ぶりの竜王復位はならなかった。1勝3敗のかど番で迎えた第5局(11月25、26日、福岡県福津市「宮地獄神社」)は、うまく局面をひっくり返して2勝目を挙げた。今局は藤井の鋭い踏み込みに対して防戦を強いられる。終盤、手順を尽くして反撃も見せたが、力尽きた。「1日目から激しい戦いになって、桂馬を先に取っているので主張はあるのかなと思いました。飛車を取る順(74手目の後手4六銀成)が甘い考えだったと反省していました」。

角換わり腰掛け銀から、予定していた形には持ち込んでいた。ただ、「大長考(118分も考えた76手目後手4一桂)が良くなかった。先手3一銀(81手目)が鋭い手で苦しくしてしまった」と振り返った。

今シリーズは随所で新たな趣向を見せ、藤井竜王をてこずらせた。「第3局を落としたのが悔やまれます」。優勢に進めながら逆転負けしたのを、ターニングポイントに挙げた。中盤以降、底力を発揮されて引き離される局面が目立った。「2勝4敗でしたが、スコア以上の完敗だったと思います」。

4年前も2勝3敗で、同じ「指宿白水館」で第6局を迎えた。この時は正午すぎに快勝した。続く第7局に望みをつなぎ、羽生善治竜王(当時)を27年ぶりの無冠に追い込み、自身初の竜王獲得となった。相性のいい場所で、今期は「終戦」となった。