各地で相次ぐ強盗事件で「ルフィ」と名乗り、交流サイト(SNS)を通じて実行役に指示していたとみられる人物が、フィリピンに滞在しているとの情報があることが25日、分かった。東京都狛江市の住宅で大塩衣与さん(90)が遺体で見つかった強盗殺人事件は26日で発生から1週間。事件翌日の今月20日には関与が疑われるグループが、都内の別の場所を襲撃するため下見をしていたとみられることも判明。警視庁などは実行役や指示系統を調べている。

関東や山口、広島両県など一連の事件で、実行役らはネット上の「闇バイト」で集められた可能性が高い。匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」、レンタカー、襲撃の手口などの共通点があり、指示役も浮上。少なくとも昨年10月の東京都稲城市の強盗傷害事件では、ルフィと名乗る人物が実行役を募り、指示していたとみられる。昨年12月の東京都中野区の事件では、指示役が別の名前を使っていた可能性があり、逮捕された永田陸人容疑者(21、金沢市)は、テレグラムを通じてメッセージを受け取っていたという。千葉県大網白里市や広島市西区の事件でもテレグラムが使われたという。

警視庁は、狛江市の事件翌日の20日、不審車両の通報を受け、大塩さん宅付近から逃走した車両と同じナンバーのレンタカーを東京都足立区で発見。近くには永田容疑者がおり、翌21日に逮捕した。車内にあったスマートフォンに「狛江」と記されたメッセージのほか、足立区内の住所の記載が複数あった。レンタカーはうち1カ所の付近を行き来しており、下見をしていたとみられている。

車内には腕時計3本が残され、うち1本はスイスの高級腕時計「フランクミュラー」だった。大塩さんの家族は、高級時計やダイヤモンドの指輪がなくなったと説明しており、強奪されたものの可能性がある。車内では空の段ボール箱数箱、複数の身分証明書なども発見。容疑者らは宅配業者を装って大塩さん宅に侵入したとみられる。中野区の事件でも、永田容疑者らが宅配業者を装っていた。

大塩さんは19日午前11時ごろ、買い物先から帰宅。自室がある2階には、購入品が入ったスーパーの袋が残されていた。大塩さんは全身に暴行を受け、正午ごろ死亡したとみられる。