宗教団体「エホバの証人」の信者の家庭で児童虐待が疑われる事例が発生しているとして、弁護士や医師らで設立された「エホバの証人問題支援弁護団」が28日、東京・霞が関の弁護士会館で会見を開いた。

自身もエホバの証人の「宗教2世」として育ったという田中広太郎弁護士は「信教の自由を攻撃する意図はない」とした上で「一切の正当化ができない極めて過酷な『ムチ問題』が存在した」と強調した。田中氏によると、約1カ月間で弁護団には77件のムチ問題に関する相談が寄せられた。信者の家庭内では「集会中に居眠りをした」「学校の友達と遊んだ」などの理由で、子どもを革ベルトなどで打つといった行為が行われていたという。

エホバの証人の親たちの間では「子どもを愛しているならムチをする。ムチをしていないと子どもを愛していない」などと信者内で指摘されることがあったという。

弁護団には、教団が子どもに輸血を拒否する指導を行っているとの情報が寄せられた。田中氏は「厚生労働省がガイドラインで『子どもの輸血を拒否すること』『子どもに輸血を拒否するカードを持たすこと』は『児童虐待』と政府見解で明言してくれた」と述べた。その上で「社会的な問題として注目すべき」と話した。弁護団は「教団の中で苦しんでいる信者の方の力になりたい」と思いを口にした。【沢田直人】