2023年度予算案の審議が始まった1日の参院予算委員会で、岸田文雄首相が国会答弁で駆使する「岸田ワード」のひとつ、「さまざま」が話題になった。

立憲民主党の辻元清美参院議員は、質問に入る際に「最初に申し上げたい。総理の口癖は『さまざまな』で、そう言う時はだいたいごまかす時だ」と切り出し「『さまざまな議論』『さまざまな意見』という言葉は封印してほしい」とけん制し、質疑に入った。

しかし、首相は答弁で「さまざま」を多用。辻元氏も特にとがめることはしなかった。ただ、予算を「倍増」するとしている子ども・子育て政策に関して、財源をどうするのか突っ込んだやりとりが行われた際、首相は短時間の間に「さまざま」を連発した。

辻元氏が「今、子ども・子育てに付けている予算は一切手を付けず、別枠でお金をもってくるという理解でいいですね」と確認すると、首相は「最優先で取り組むべきものは何か、パッケージで示したい。財源は従来の予算の状況をみて、内容を踏まえ、支えるためにどうあるべきかを考えていくということ。従来の予算をまったく動かさないとは申していない」と答弁した。

この答弁に辻元氏が「『子ども』とついている予算をかき集めて一定つくって、ちょこっと足すということか」と突っ込むと、首相は「さまざまな、その…失礼。さまざまと言っちゃいけなかった。ごめんなさい」と、苦笑いしながら、自ら訂正。続けて「この10年をみても子ども・子育て政策は、社会の変化の中で、さまざまな…あ…議論が行われてきた」と連続言及。さらに時間を置かずに「優先順位をつくって、さまざま…子ども子育て政策を進めてきた」と、「さまざま」を連発する展開になった。

この展開に、辻元氏に「さまざまという時は、総理がいちばん苦しい、厳しい時なんだから」と“生解説”。首相は、具体像を示せないでいる子ども・子育て政策の予算のあり方について「社会の変化の中でいま求められる政策は何かを厳選し、内容を具体化しようとしている。その内容を踏まえた予算がどうあるべきかを考え、必要とされる予算を倍増しようという大枠を6月に示したい」と訴えた。

岸田首相はこれまで「検討」を多用し「検討使」とやゆされてきた。2月27日の衆院予算委員会では、「検討」が最近は「説明」に変わったとして「説明という単語に逃げないで」と野党に指摘された。