政治家女子48党(前NHK党)のガーシー(東谷義和氏)参院議員(比例代表)が15日、1度も国会に登院することなく議員の身分を失った。この日の参院本会議で国会法に基づき、最も重い「除名」の懲罰処分が発議され、与野党の出席議員3分の2以上の賛成で可決した。現行憲法下での国会議員の除名は1951年(昭26)以来、72年ぶり3例目となった。

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ガーシー氏は昨年8月3日に召集された臨時国会の初登院欠席から225日限りで議員の身分を剥奪された。記名投票による採決は賛成235票、反対1票で尾辻秀久参院議長から除名の宣告を受けた。国会議員の除名は参院では50年4月の小川友三氏、衆院では51年3月の川上貫一氏以来、3例目。1度も国会に姿を見せぬまま、肩書はガーシー前参院議員となった。

ガーシー氏の弁明を行った政治家女子48党の浜田聡氏は「ガーシー憎しの偏向報道が横行」「除名処分は違法である」などと主張。本会議後にガーシー氏の議席で欠席を示し、倒されていた氏名標を立てて退場した。浜田氏は、その意味を「想像にお任せします」としたが、氏名標は閉会後、即座に取り外された。

国会欠席を理由とする除名は初めてで、繰り上がり当選が予定されている実業家のホリエモンこと堀江貴文氏の秘書を務める同党の斉藤健一郎副党首は会見で「登院します」と述べた。

15日付で除名となったガーシー氏。10日に支給された議員の月額歳費129万4000円、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の月額100万円は日割り計算で減額され、昨年7月から支給された総額は1944万7589円となった。

国会議員は落選や引退など伴って申請すれば、現職同様に手続きなしで国会内を通行、前議員室などを利用できる「前議員バッジ」が期限なしで交付される。だが参院の議院運営委員会は「前議員バッジ」を交付しないことを決定した。参院で同バッジの交付不許可は94年7月に公職選挙法違反で有罪となった新間正次元参議院議員(民社党)以来、2例目。厳しい対応を行ったが、除名までに約7カ月半を要し、その間も議員歳費が支給されるなど、今後に課題を残した。【大上悟】