東京・神宮外苑再開発計画に反対の立場を表明している日本イコモス国内委員会は29日、都内の日本記者クラブで会見し、計画の全面的見直しを要請する声明文を発表した。また東京都の小池百合子知事に対し、都の環境影響評価(アセスメント)審議会での説明や、資料提出の機会を求める緊急要請を行ったことも明かした。

日本イコモス理事の石川幹子・中大研究開発機構教授は「1000本どころか、第1期だけで3000本伐採される」と述べ、計画で明らかになっている数を大きく上回る数の樹木が、伐採される予定であることを問題視。ニューヨークのセントラルパークで再開発計画が持ち上がった時、市民の強い反対で再開発が行われなかったとして「外苑は『志』をもって作られた。その志をこれから100年継承していきたいというのが私たちのメッセージ」と訴えた。

ともに会見した超党派の国会議員による「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」代表の自民党・船田元衆院議員は、秩父宮ラグビー場と神宮球場の位置を入れ替え、建て直しが行われることに疑問を呈しながら「(名所の)イチョウ並木は、球場が近くに建つことで根が削られ、枯れる危険性がある。超高層ビルが建つことで景観が壊れ、ビル風もひどくなる。1度立ち止まり、計画を根本的に見直してほしい」と訴えた。

船田氏はまた、これまで小池氏に2度面会を要請したが、「多忙」を理由に、2度とも断られたことを明かした。小池氏の対応に関して、石川氏は「今回のものを入れれば、(小池氏に)これまで14、15の提言をしている」と述べた。その上で、かつて新宿御苑のイチョウを保護するための活動に、環境相だった小池氏が理解を示して対応してくれたとして「(今回も)希望はあるのではないかという気持ちは持っている」と述べた。【中山知子】