日大は3月31日、都内で会見し、系列病院を舞台にした一連の背任事件をめぐり、田中英寿元理事長(76)や元理事らに対し、計11億1360万7509円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表した(30日付)。

一連の不祥事では、田中元理事長が所得税法違反で有罪になり、医学部付属板橋病院(東京)の建て替え工事や医療機器などの調達をめぐる背任罪で井ノ口忠男元理事(65)らが起訴された。今回は個人5人と関連する3社に賠償を求めた。内容は、建て替えにかかる背任事件による損害として2億2000万円、医療機器などに関する背任事件による損害計3億6165万1758円、第三者委員会の調査費用2億4276万3418円、内部調査委員会の調査費用1億8795万5287円、訴訟費用1億123万7046円。今後、追加提訴も検討するという。

日大は昨年7月に作家・林真理子氏(68)が理事長に就任し、新体制となった。日大側は提訴について「新体制が発足したこの年度にできることは、区切りをつけたかった」「訴訟で損害回復を図ることでうみをだすことになる。学生、保護者、卒業生らに対し信頼回復と説明責任を果たしていきたい」などと説明した。