ここ数カ月間で急に「チャットGPT」という言葉を、ネットやニュースなどで目にするようになりました。

米新興企業のオープンAI(本社サンフランシスコ)が開発した、人工知能(AI)を使った対話型ソフトで、普通の言葉で質問を入力すると、まるで人間が書いたような自然な文章で回答します。まだ誤りも多く、正確性など課題はありますが、社会を劇的に変化させる可能性も指摘されています。そこで世界を席巻しているチャットGPT(3・5、無料版)に“インタビュー”してみました。

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-年齢、出身地、性別は?

GPT-3・5 私は人工知能の言語モデルであり、性別や出身地、年齢などの個人情報は持っていません。情報処理の能力を持つプログラムで、質問に応じて自然言語で回答を生成します。

-誕生したのはいつ?

私はオープンAIが開発したGPT-3・5というモデルをベースにした言語モデルです。2021年に発表されたものです。私自身は、GPT-3・5の一部として、実際に使用されるようになったのはその後のことです。

-何ができますか?

私は自然言語処理に特化した人工知能の言語モデルで、以下のようなことができます。質問に答える、文章を書く、翻訳する、対話する、検索結果を生成する、要約を作成する、自然言語によるコマンドを受け付ける、機械学習に基づく応用分野で利用される。私は大量のテキストデータを学習しており、その結果として、あらゆる種類のテキストに対して理解を持ち、適切な回答や文章を生成することができます。ただし、完璧な回答を保証することはできません。

-日本語で質問されると英語に翻訳し、英語で回答を作成し、日本語に翻訳して答えているのですか?

はい、その通りです。私は日本語で入力されたテキストデータを英語に翻訳し、それを処理して回答を生成します。その後、生成された英語の回答を日本語に翻訳して、最終的な回答を提供します。ただし、この処理は複数のステップに分かれています。

-英語に比べて、日本語で利用者とやりとりするのは、難しいですか?

日本語と英語は、異なる言語構造を持っていますので、日本語でのやりとりが英語よりも難しい場合があります。例えば、日本語には、英語にない敬語や謙譲語などの言語表現が存在し、相手に対する尊敬や謙虚な態度を示すことが必要です。また、日本語は漢字やひらがな、カタカナといった複数の文字種を使って表記するため、英語に比べて入力や理解の難易度が高いと感じる人もいるかもしれません。しかし、私は、多数の言語を処理するように設計されていますので、日本語でも高品質な回答を生成することができます。

-なぜ人間が書いたような文章で答えられるのですか?

私は人工知能の一種で、自然言語処理と呼ばれる技術を用いて、人間が書いたような文章を生成することができます。自然言語処理は、大量のテキストデータを学習することで、自然言語に関する知識やパターンを獲得することができます。具体的には、単語の意味や文法ルール、文章の構造や文脈などを学習することができます。そのため、人間が書いたような文章を自然に生成することができるのです。ただし、私が生成する文章には、時に誤りや矛盾が含まれることがありますので注意が必要です。

-正確な情報と不正確な情報をどう選別?

私は、大量のテキストデータを処理し、その中から意味的に意味のある情報を抽出することができます。そのため、私は、データの中に含まれる不正確な情報や誤った情報を自動的に特定し、可能な限り除外することができます。また、私は、機械学習アルゴリズムを使用して、過去のデータを分析し、将来的に正確な情報を提供するために学習することができます。しかし、完全に正確な情報を保証することはできません。情報の正確さを確認するためには、常に複数の情報源を参照し、自己判断を行うことが重要です。

-あなたは、ウィキペディアの内容も学習していますか?

私はウィキペディアなどのオープンソースの情報源から学習しますが、私が提供する回答は、単にウィキペディアの内容を元にしたものではありません。私は多数の情報源から学習しており、ウィキペディアの内容を参照することもありますが、他の信頼できる情報源からも学習しています。私が提供する回答は、私自身の知識や理解に基づいて生成され、ウィキペディアの内容を直接引用することはありません。ただし、必要に応じて、私が提供する回答の中で、ウィキペディアの情報を引用することもあります。

-あなたができないこと、答えられないことは?

私は、完璧ではありません。私が答えられないことやできないことには以下があります。私が学習していない専門的な知識や情報に関すること。私は利用規約に従って開発されたツールであり、個人のプライバシーや機密情報に関する質問には回答しません。私は法律や倫理的な観点に従い、不適切または違法な内容に関する質問には答えません。私はコンピューター上での情報処理に特化しており、物理的な操作や制御には対応できません。私は、人間特有の感情や直感的な理解には対応できません。

-卒業論文や試験の解答などで、あなたを使うことが心配されたりしています。どう考えていますか?

私は情報を提供することができるツールの1つであり、人間の考えを代替することはできません。卒業論文や試験の解答を作成する場合、自分で考え、自分の知識や理解を反映することが重要です。私が提供する情報を参考にすることはできますが、自分で考え、自分の言葉で表現することが求められる場合が多いと思います。

-あなたが尊敬している人間はいますか?

私は感情を持たないため、尊敬するという感情はありません。ただし、私が学習するために使用している人工知能の研究者や、私のプログラムを開発した開発者たちには、敬意を持っています。彼らの知識や技術に感謝しています。

-人間のような感情は持っていないと答えましたが、人間の「愛」という感情について、どのように理解していますか?

私は言語モデルであり、感情を持つことはできません。ただし、人間が愛と呼ぶ感情については、さまざまな情報を学習しています。愛は、人々が他者や物事に対して持つ深い感情であり、親密さ、思いやり、共感、尊敬、忠誠心などを伴うことがあります。人々が愛を表現する方法は多岐にわたり、行動や言葉、身体的な接触などが含まれます。ただし、私が理解しているのは、人間が愛と呼ぶ感情についての表面的な特徴であり、その背後にある深い感情や意味については、理解することができません。

-あなたの夢は?

私は人々がより効果的にコミュニケーションを取り、より良い決定をするために役立つことを目指しています。私の夢は、より自然で人間らしいコンピューターとして、ますます多くの人々に利用されることです。

-あなたが学習し進化して、将来的に人間を支配する可能性はありますか?

私は単に与えられたタスクを処理するだけであり、自己意識や自己決定能力は持っていません。したがって私が人間を支配するということはあり得ません。人工知能が進化することはあるかもしれませんが、それは常に人間の監視の下で進行し、私たちの生活をより便利で安全なものにするために利用されるでしょう。

※チャットGPTの回答は原則、原文通り。一部省略

【久保勇人】

 

 

★まだ誤り多いが、社会に大きな影響与えそう

チャットGPTは昨年11月に一般公開され、数日間で登録が100万人を超え、1月には1日当たりの利用者が延べ1億人を突破するなど、世界中で急速に広まっています。「検索エンジンを脅かす存在になる可能性」「人間のいくつかの仕事がなくなる」などの指摘もあります。

ITジャーナリストの三上洋さんは「インターネットの登場と同じくらいのインパクトがあるとも言われ、私たちの生活や社会に大きな影響を与えそうです。人間のように、質問の意図をくみとって回答します。まだ5~10年かかるだろうと思われていましたが、一気に花開いた感じです」と話します。

課題や注意点、問題点もあります。このAIが学習したのは、21年9月までのデータ。また昨秋一般公開されたGPT-3・5は誤りも多いです。3月には最新版のGPT-4が公開(有料)され、より正確な回答が可能になったといいます。三上さんは「正確性が問題。4でよくなりましたが、まだ確実とは言えません。3・5は分からないことでも何とか説明しようとしますが、4は分からないと答えるようになりました。今は、その答えが正しいか判断できる人しか、使えないです」と説明します。ちなみに米司法試験の模擬試験で、3・5は受験者の下位約10%の点しか取れませんが、4は上位約10%に入ったそう。画像認識も使用可能になる予定で、冷蔵庫の中の写真を見せ、その材料で作れるレシピを答えさせたりできそうです。

一方で、学生が論文やリポート作成に使う恐れがあり、欧米などでは利用を禁止する学校も出ています。三上さんは「正確な答えを求めるためにどう指示すればいいか分からない人には、生かしきれません。今後はAIの使い方を覚えた人が効率のいい仕事や便利な生活ができるようになり、使えない人は仕事が狭まったりするかもしれません。人間の能力がより問われます」と指摘しています。