東京都の小池百合子知事は2日の定例会見で、先月、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された「パーフェクト・デイズ」で、日本人で19年ぶりの男優賞を受賞した俳優役所広司(67)を祝福した。

映画は、渋谷区の公共トイレを舞台に物語が繰り広げられた。小池氏は、映画製作に当たって生前の安倍晋三元首相から電話をもらい、協力を求められていたことを明かした。

「お願いがあるんだ、と電話をいただいた。ドイツ人の監督(ヴィム・ヴェンダース氏)がトイレを主題にした映画をつくりたいというので手伝ってくれないか、と。そういうお話で電話をいただき、担当につないだ」と、安倍氏とのやりとりを明かした。「その後、撮影がスムーズにいくように東京都がサポートした。最後の字幕(エンドロール)に東京都の名前も出ているそうだ」と、安倍氏と小池氏、都とカンヌ受賞作の意外な接点にも触れた。 安倍氏は映画に造詣が深かったことで知られる。

小池氏は、「東京の渋谷のトイレが世界に映画で発信され、男優さんがカンヌで賞を受賞した。日本の日常の部分を、いろいろなストーリーに織り交ぜた映画が受賞につながった」と述べた。役所の芸名の由来について「(俳優になる前は)千代田区役所の職員でいらした」と、東京とのつながりを披露する場面もあった。

また、メガホンを取った「怪物」が脚本賞を受賞した是枝裕和監督にも祝意を表明。「東京、日本のいろんな分野で発信することは大切。それにかかわる皆さんには、これからも頑張っていただきたい」と、映画をはじめとするエンタメ業界への期待を呼びかけた。【中山知子】