藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将=20)が挑戦者の佐々木大地七段(28)に先勝した、将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局が23日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われた。

午前9時から始まった対局は相掛かりから激しい攻め合いになった。形勢が二転三転する接戦の末、最後に先手の佐々木が抜け出し、午後7時20分、111手で藤井を下した。

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佐々木七段は、名人への挑戦権があるA級以下、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と5クラスある順位戦で、最下級のC級2組なんですって。驚きました。かなりの実力の持ち主ですよ。タイトル戦初登場でつばぜり合いを制して、藤井棋聖に勝つんですから。今局では、その片りんを見せてくれました。

終盤、5筋に角を打ってからの攻めは見事でした。序盤も自陣の8筋に歩を打たせてから、うまく対応していました。研究が行き届いていますし、全体にのびのびと指していて好感が持てました。

そういえば3年前、藤井7冠も初めてタイトル戦で棋聖、王位と連続挑戦して2冠になりました。王位戦の挑戦者でもある佐々木七段は、その後を追いかけている気がします。第3局以降が楽しみです。

対戦相手の研究手筋を受けて立つ藤井棋聖は、ひとまず心身の調整が課題でしょう。初めての多忙な公務をうまくこなす必要がありますので。(加藤一二三・九段)