中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の保険金不正請求問題をめぐり、26日付で就任した和泉伸二新社長が25日の記者会見後に、社内の連絡ツールとして使用していたLINE(ライン)のアカウントを削除するように、社員全員に通知していたことが分かった。

和泉社長はこの日、国交省でヒアリングを受けた後の報道陣の取材に、LINEのアカウント削除通知を認め「100個くらい(のグループライン)が作成されているらしいと聴いた。LINEでの連絡や報告が頻繁に行われ、休みの日でも確認がされていた」「風土改革の一環で、いったん縛るのはやめようと。縛るようなツールは使いたくないのでいったん全部やめることにした」と説明した。

ただアカウントを削除すれば、過去の履歴も消えてしまい、証拠隠滅との疑念も招きかねない。和泉社長は「(過去の履歴が消えるという)ご指摘はおっしゃる通りだが、スピードを持って始めたかった」と釈明。「今後の調査の中で、LINEの中での不正の確認や証拠になり得るものがあれば、社員の方で記録として残っていると思う」とも話した。

これまで、過去の履歴がさまざまな形で表面化してきたことへの対応策ではないのかと問われると、和泉社長は「全く違います。隠そうとする意思はありません」と語気を強めた。「LINEの停止は改革の第1弾と(社員に)伝えている。隠蔽(いんぺい)をするということになると、改革でも何でもない」話した。

中には、内部告発を止めるように暗に促しているのではないかと受け止めをしている社員もいるとの指摘も出ている。和泉社長は「改革の第1弾としてと伝えている、隠蔽をすることは改革でも何でもない」と繰り返し「言葉は足りないと思うが、私としては(LINE停止の)意図は理解は(社員に)してもらっていると思う」と訴えた。LINEの停止は、社員にメールを送る約1時間前に決めたとした。

国交省の同社へのヒアリングは午後1時から2時間あまり実施され、同日付で就任した和泉伸二社長や石橋光国副社長ら幹部が出席した。