自民党が、東京の選挙で再び敗北した。

都議2人の市長選出馬による自動失職に伴う東京都議選・立川市選挙区(欠員2)は15日、投開票され、いずれも新人で都民ファーストの会の元市議、伊藤大輔氏(48)と、立憲民主党の元葛飾区議、鈴木烈氏(49)が当選した。自民党の新人、元市議の木原宏氏(47)は落選した。

自民党は、9月の立川市長選に続き敗れた。落選した木原氏は2位の鈴木氏と、91票差。これまでの2議席は自民、立民が持っており、自民は都民ファに議席を奪われた形となった。

新人3人が2議席を争い「三つどもえの激戦」といわれた選挙戦。市長選では落選したが今回トップ得票で初当選した伊藤氏には、都民ファ特別顧問を務める小池百合子都知事が何度も応援に入った。都議会の知事与党・都民ファの勢力に直結する選挙だっただけに「厳しい戦いだが送り出して欲しい」と、支持を訴えた。鈴木氏には蓮舫参院議員らが応援に入り、立川市長選で初当選した同党都議出身の酒井大史市長との連携を訴えた。

木原氏にも高市早苗経済安全保障相をはじめ多くの国会議員が応援に入ったが及ばず、自民党内では、選挙結果を深刻に受け止める声も出ている。というのも自民党は、次期衆院選での東京都内の選挙区候補者調整をめぐり、連立政権を組む公明党との関係が悪化。公明党の石井啓一幹事長は今年5月、「これまでの自民党との協議において、東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と強い調子で批判。一時、選挙協力解消に追い込まれた。

自民、公明両党は9月4日に、選挙協力の「復活」で合意したが、その前日の9月3日に投開票された立川市長選では、自民候補は立民系の酒井氏に1581票差で、敗れている。

今回は、東京での自公選挙協力が復活した中での本格的な選挙戦。衆院解散・総選挙のタイミングが近いといわれる中、自公選挙協力の「現状」を占う上でも注目が集まっていた。

今回の選挙結果によって、都議会の勢力は第1党の自民党(27議席)と、知事与党でこれまで26議席で第2党だった都民ファが1議席を増やしたことで、両党が同数の第1党となった。都民ファ幹事長の尾島紘平都議は15日夜、X(旧ツイッター)を更新し「立川市民の皆さまの信託を頂き、新たな仲間が加わること、心から歓迎します」と投稿した。

投票率は27・39%。2021年都議選の37・24%を9・85ポイント、下回った。【中山知子】