会場建設費の上振れに批判が出ている大阪・関西万博について、現在明らかになっている最大2350億円の会場建設費とはまた別に、「日本館」への経費が見込まれていることが27日の参院予算委員会の質疑で指摘された。

立憲民主党の辻元清美参院議員が「日本パビリオンは建設費の2350億円の中に入っていると思っていたが、別にまたお金が要るんですね」と質問したのに対し、岸田文雄首相は「全体の会場建設費は、博覧会協会がまずは責任を負い、国が管理監督責任を負う形になるが、日本館については日本の国として管理する立場にあるので、これは(建設費とは)別だと言うこと」と述べた。

西村康稔経産相は「日本館にはこれまでに92億円を計上している。今回の補正予算でさらに171億円計上している。加えて、仕上げのための費用、運営費用、解体の費用が必要になり、プラスアルファがでてくると思う」と述べ、さらなる費用の増加に言及。辻元氏は独自の試算で、現段階で計308億円の経費を見込んでいるとした上で「総理の決断でもっと簡素化すべきではないか」と、岸田首相に求めた。首相は「予算的な合理化を徹底していくのは当然。国として責任持って合理化努力を続ける」と述べた。

一方、西村氏は「仕上げの予算、運営の予算、解体の予算をプラスアルファで計上しないといけない。総額として360億円には抑えたい」と、具体的な金額に言及。2005年に行われた愛知万博の日本館に246億円の経費がかかったとした上で、当時と比べて経費の高騰や消費税率の上昇があることを踏まえ「400億円を超えるところを360億に抑えたい」と、理解を求めた。

しかし、辻元氏は「万博リングが350(億円)、日本館が360(億円)。なんですか、これは」と激怒。大会建設費の2350億円のうち、3分の1に当たる国の負担分約783億円以外に約839億円がかかるとする独自の試算を示して「今分かっているだけで(国の負担分は総額で)倍増している」と指摘。首相も「会場建設費以外に国費として負担があるのはその通りだ」と認めた。

辻元氏は「2350億円以外には費用がかからないようなことを言っていたのに、(国の負担分は)倍増になっている」として「ごまかすためにその部分(2350億円)しか言っていなかったの?」と首相をただした。首相は「建設費の議論を行った際に、これ以上の増額は認めるつもりはないと申し上げた。会場建設費はその通り。その以外の国費分は合理化の努力を続けないといけない。当然ながらごまかす意図はなかった」と訴えた。

万博にかかる総経費を示すよう求められると「全体像を示せるよう努力します」と応じた。