日本テレビ系列の日本海テレビジョン(鳥取市)は28日、経営戦略局長の男性(53)が14年からチャリティー番組「24時間テレビ」の寄付金や、会社の売上金など計約1118万円を着服していたと発表した。同社は27日付でこの幹部を懲戒解雇し、28日に警察に被害届を出した。

同社によると、男性は田村昌宏元局長。会社の調べに対し、「24時間テレビ」の寄付金を14年から今年までに計264万6020円着服していたと認めた。募金終了後、金融機関に運ぶまで、本社内で保管していた紙幣や貨幣から周囲の目を盗んで持ち出し、自分の銀行口座に入金していた。14年6月~21年3月の間には、売上金など会社の資金を計8回、853万6555円を着服していた。役員定期保険のうち、次年度で退職する取締役の分は支払い不要にもかかわらず、払ったように偽装したケースもあったという。

元局長は11月初め、会社の税務調査で資金着服が発覚するのを恐れ、自分から会社に告白。社内調査で寄付金の着服も判明した。元局長は動機について「最初の不正の14年当時、親族のために金を用立てる必要があった」などと話しているという。同社は「よく飲み歩き、スロットも好きだったといい、こうした金に使ったとみている」としている。元局長は、448万4200円をこれまでに返還。残金も弁済すると話しているという。同社は着服された寄付金全額を、24時間テレビチャリティー委員会に責任をもって届けるとしている。

元局長は94年入社。経理部長など歴任してきた。

同社はHPで「寄付金の着服は、みなさまから寄せられた善意を踏みにじって私腹を肥やした行為で、到底許せず」「責任をもって保管すべきみなさまの浄財が着服されるのを10年間、見落としてしまいました。深くお詫び申し上げます」などと謝罪。田口晃也代表取締役会長は、12月中旬に辞任する見通しを示した。