岸田文雄首相は4日夜、BSフジ「プライムニュース」に出演した。

能登半島地震をめぐり、現地の支援体制強化へ向けて予備費から40億円を拠出すると表明したことに対し「たった40億」など、額が少ないとする批判がSNSにで相次いだことについて問われ「発言の一部だけを切り取って報じているのではないか」と、反論した。

司会の反町理キャスターに「40億ぽっちなのかという話も出ている」「熊本地震の時の補正予算は、7780億円を組んでいる。40億で打ち止めということではないですよね」と指摘された首相は「発言の一部だけを切り取って報じているのではないか」との認識を示し「(地震)発災後の状況の中で、プッシュ型で必要なものを送り込むための費用として予備費を確保したいと申し上げた」「発災直後のプッシュ型支援において、熊本地震の時は23億円が必要とされた。今回は大変寒い季節で地理的な特徴もあり、その倍以上の予算は求められると。発災直後の支援において、それだけ(40億円)必要と言うことを申し上げた」と述べ、40億円はあくまで、地元の要望を待たずに行う「プッシュ型支援」に活用する額だと強調した。

また「7780億円は(熊本地震の)復興復旧の全体のお金だ。今回については令和5年度の予算が4600億円ほど残っているのを使う。令和6年度の予算も予備費5000億円を用意する。これから(国会で予算)審議をお願いするが、こういった予備費を使うことを考えている」と訴えた。「予算の制限で復興復旧をちゅうちょすることは、絶対考えないと申し上げている」とも述べた。

予備費40億円という数字については、インターネット上で「たった40億」「たったの40億」「SNS批判の嵐」など、関連ワードも含めて一時、トレンド入りした。「ケチ」「海外には何千億円バラ撒くくせに」など、批判的なコメントも相次いだ。昨年12月末にも、ウクライナに日本政府が約6000億円超の支援を行う方針と発表された際に「ウクライナに6千億円」がトレンドワードになり、「支援するのはいいけど先に自国民支援しろよ!」などの批判が起きたこともある。

「増税」イメージが定着した首相に対しては、自民党の派閥パーティーをめぐる裏金疑惑で東京地検特捜部の捜査が続いている中でもあり、お金の使い道について国民の視線が特に厳しくなっていることが反映された形ともいえる。

首相は、同番組で「今後の復興復旧の全体予算については、予備費をまずしっかり使うことで対応していく。状況を見ながら、その後も柔軟に対応することを考えている」と強調。「予算が心配だからと復興復旧ちゅうちょすることは、あってはならない」と何度も否定し、理解を求めた。