阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)と日本将棋連盟は13日、同球場で共同記者会見を行い、コラボ企画として「100周年記念対局 藤井聡太8冠×羽生善治九段」を12月8日に甲子園球場で開催すると発表した。

9月8日に創立100年を迎える日本将棋連盟と8月1日に開場100周年を迎える甲子園球場の100周年の記念事業の一環。「野球の聖地」で世代を超えた将棋界の2大スターの「夢の対決」が実現する。

詳細は後日、発表されるが、対局は同球場の貴賓室を使い、対局の模様を大型スクリーンに映し出す。スタンドには観客を入れ、グラウンドでは棋士による大盤解説会、トークショーなどを行う計画もある。

会見に出席した同連盟の羽生善治会長(53)は「ここで将棋をできるのは光栄です。甲子園球場はたくさんのファンに愛され、応援され続けている。将棋連盟としても見習いながら、多くの人に楽しんでもらえるような1つの大きな契機にできればと思います」と意気込んだ。

昨年10月に史上初の8大タイトル独占を果たした藤井は“甲子園・初登板”となる。過去の両者の公式戦での対戦成績は藤井の13勝3敗。多くの観客が見守る中、将棋界のレジェンドを相手に若き絶対王者の指し回しも注目だ。

阪神甲子園球場は1924年(大13)8月1日に「甲子園大運動場」として開場し、数々の名勝負を繰り広げてきた。甲子園球場の向井格郎球場長は「藤井竜王・名人と羽生九段の対局が新たな歴史の1ページとして加わることは、意義深い」と喜んだ。

甲子園の本拠地とする阪神タイガースには、同連盟からアマ三段と認定された腕前を持つ岡田彰布監督をはじめ、将棋好きも多い。同連盟関係者は「トークショーに将棋が好きな阪神のOBの方や選手を呼ぶことができれば」。向井球場長は岡田監督のゲスト出演について「まだ、これからです。そういった機会があれば、甲子園球場としてもうれしい」と話した。

12・8。聖地甲子園でビッグイベントが行われる。【松浦隆司】

○…甲子園球場によると、1948年(昭23)に大山康晴15世名人と大阪市出身の棋士・松田辰雄八段の早指しの対局が甲子園球場で行われたと記録が残っている。向井球場長は「当時はバックスクリーンがなく、対局の様子をグラウンドに白線を引いて、人間が巨大な駒になって移動。(人間将棋の)大変ユニークな対局の写真が残っています」。約3万5000人が集まったという。