藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)への挑戦権を争う第9期叡王戦挑戦者決定戦、永瀬拓矢九段(31)対伊藤匠七段(21)戦が19日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。午前10時から始まった対局は後手の伊藤が永瀬を下して、初の挑戦権を獲得した。永瀬は前期の挑決で菅井竜也八段に敗れたのに続き、今期もあと1歩のところで逃した。

伊藤が永瀬の入玉を阻止した。「上部脱出を止められるかが焦点でした。こちらが駒得の形で、ペースをつかめていてもおかしくないと思いました」と振り返る。最後は1分将棋の秒読みに追われながらも、的確に寄せ切った。

予選開催時、まだ六段だった伊藤は、段位別予選で黒沢怜生六段、高野智史六段、渡辺和史六段、服部慎一郎六段を倒して本戦入り。本戦では山崎隆之八段、斎藤明日斗五段、青嶋未来六段を破った。永瀬とは昨年夏の竜王戦挑戦者決定3番勝負でも激突。連勝して初のタイトル戦登場を決めた。

17日まで棋王戦5番勝負を戦っていたばかり。今回三たび藤井との同学年対決に挑む。

藤井とは11戦して10敗1分け。「タイトル戦で結果が出てないので、良い内容の将棋を指せるように頑張りたいです」。短期決戦で初白星を挙げれば、流れがつかめるかもしれない。

藤井との5番勝負は4月7日、名古屋市「か茂免」で開幕する。