岸田文雄首相は27日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、26日に始めた安倍派(清和政策研究会=解散決定)幹部への再聴取に関連して、森喜朗元首相(86)への聴取実施に含みを持たせた。

立憲民主党の杉尾秀哉氏から、森氏の聴取について問われた際「さまざまな疑念に答えるため、必要な聞き取り調査を追加で行うことも考えていきたい」と述べた。

安倍派がかつて「森派」と呼ばれた時代に、森氏が森派を率いた経緯があり、裏金のキックバックが始まった経緯などについて知っているのではないかとして、野党から国会招致を求める声が出ている。

安倍派幹部への再聴取は26日、首相も出席して安倍派の塩谷立座長、下村博文元文科相に対し行われた。27日は西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長に対して実施される予定。

4人は2022年4月に安倍派会長だった安倍晋三元首相がキックバックの廃止を打ち出した会合に出席。安倍氏の死去後の8月の協議にも出席したが、その際に安倍氏の方針通り廃止を決めず、キックバックはその後、復活した。だれが復活させたのかなど詳細な経緯について、4人とも衆参の政治倫理審査会に出席した際、自分は把握していないとの主張を繰り返し、他の安倍派幹部に比べて責任の重さが指摘されている。

一方、岸田首相は、裏金議員への処分内容について「今の段階では全く決まっていない」と述べるにとどめた。裏金問題の責任を取る形で、25日に次期衆院選には出馬しないと表明した二階敏博元幹事長への処分については「全く決めていない」と述べた。