岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる責任論を問われ「衆院解散で決着をつけたらいいじゃないですか」との指摘に「まったく考えておりません」と否定した。

立憲民主党の辻元清美議員の質問に答えた。

辻元氏は、今回の裏金問題について「自民党としてどう責任を取るのか。国民から見たら総辞職ものだ、という認識はあるのか」と指摘。「もう、国民に処分を決めてもらうしかないんじゃないですか。総理も解散のタイミングを探ってるじゃないですか。そう見えますよ」とした上で、以前岸田首相が国会で、裏金に関与した議員を処分するまでは衆院解散をしない意向を示したことを念頭に「処分までは(解散を)しないとおっしゃった。(4月にも)処分するんでしょ? 解散で決着つけたらいいじゃないですか。どうですか」と、挑発するように首相に迫った。

これに対し岸田首相は「政治の信頼回復に向けて取り組まなければならず、自民党への厳しい目が注がれている強い危機感を持って、この取り組みをリードしなければならない。まずはこれに専念します」とした上で「解散・総選挙については全く考えておりません」とかわした。

この日の参院予算委員会は、委員会に先立つ理事会で裏金問題をめぐり、自民党が安倍派幹部に行っている再聴取についての説明が不十分と立憲民主党が反発し、開会が約2時間遅れた。辻元氏の質疑でも首相答弁内容をめぐり質疑がたびたび止まり、与野党協議が断続的に続き、昼前には委員長が「暫時休憩」を宣言する場面もあった。

委員会はその後再開され、審議されていた2024年度予算案は、与党の賛成多数で可決された。28日夜の参院本会議で成立する。