将棋の藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将=21)への挑戦権を争うヒューリック杯第95期棋聖戦の決勝トーナメント決勝、佐藤天彦九段(36)と山崎隆之八段(43)戦が22日、東京都内で行われた。

午前10時から始まった対局は先手の佐藤が序盤に飛車を8筋に振り、相手の飛車と向かい合う形の「向かい飛車」の戦法を選択。序盤は互いに出方を探る駆け引きが続いた。終盤に抜け出した山崎が182手で佐藤を下し、棋聖初挑戦を決めた。

終局後、山崎は「序盤はお互いが見たことがない形になり、楽しかった」と変幻自在な力戦を得意とする山崎らしいコメントで振り返った。

セオリーにとらわれない独創的な指し回しでファンを魅了してきた。タイトル挑戦は09年度の王座戦1回。棋戦優勝は8回を誇る。2回目の大舞台で初タイトルを目指す山崎は「ちょっと前まで自分がいま挑戦できるという感じは、自分自身も、周りも思ってなかった」と話した。

養成機関「奨励会」の幹事を務めていた際に、プロ入り前の藤井を見ていた。当時は序盤が弱点だった少年は、若き絶対王者になり、スキが見当たらない。

「実力差はあるのは分かっている。作戦を考えて、少しでもチャンスのある5番勝負にしたい」と意気込んだ。

今期の棋聖戦5番勝負では藤井が防衛すれば、5連覇を達成する。通算5期となり、永世棋聖の資格を獲得。中原誠16世名人が1971年に永世称号の史上最年少記録(23歳11カ月で永世棋聖)を更新する。

 

【ヒューリック杯第95期棋聖戦5番勝負 日程】

★第1局 6月6日 千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」

★第2局 6月17日 新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」

★第3局 7月1日 愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

★第4局 7月10日 兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」

★第5局 7月23日 静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」