松本剛明総務相は23日の会見で、衆院東京15区補選(4月28日投開票)で、特定の候補者や陣営が他の候補者の街頭活動を妨害するような行為を行っていることに関して、こうした行為は公職選挙法の自由妨害罪や、刑法の暴行罪などの処罰対象になり得るとの認識を示した。

公選法を所管する総務相としての認識を問われた松本氏は、街頭演説について「候補者の主張を国民のみなさまに直接聞いていただく意義ある機会」とした上で「公正さが確保されるためには選挙運動は自由に行われないといけないが、これを妨害することはあってはならない。選挙運動の自由を、暴力や妨害などで犯す行為は、公職選挙法上の(選挙の)自由妨害罪や刑法の暴行罪の対象となり得る」と指摘した。

21日には、無所属で出馬している乙武洋匡氏陣営の街頭演説会場で、乙武氏の陣営関係者が男に突き飛ばされ、警視庁が暴行容疑で男を現行犯逮捕する事態も起きている。松本氏は「逮捕者が出ていることは承知している。刑法や公選法をはじめ、法を犯すことなく公正、適切に選挙運動を展開していただきたい」と呼びかけた。

乙武氏を支援している東京都の小池百合子知事は、街頭演説中に特定の候補者や陣営から大音響のヤジなどの妨害行為を受けたことをめぐり、19日の定例会見で「命の危険を感じるような場面もあった」と指摘しており、松本氏は「活動している方が命の危険を感じることがあることは、極めて深刻に受け止めないと行けない」とも指摘した。

東京15区補選での事態を受け、候補者や一部野党からは、公選法に定められた自由妨害罪の罰則を強化するべく、法改正が必要との指摘が相次いでいる。

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