自民党の鶴保庸介・参院予算委員長が8日、和歌山市で行われた参院選(20日投開票)和歌山選挙区に立候補している同党候補者の会合でのあいさつで「運のいいことに能登で地震があった」と発言した。鶴保氏は8日深夜になって発言を撤回し、陳謝する内容のコメントを発表し、9日午前には和歌山市で会見し「例示で出すとしても不適切だった」と述べ、改めて謝罪した。
ただ、地震の被災者への思いやりに全く欠けた内容の発言で、与野党から批判や疑問の声が相次ぎ、SNSでは当該発言がトレンド入りするなど、一般の国民からも批判が寄せられる事態に。序盤情勢で苦戦が指摘される自民党で選挙戦を戦う現場からは「最悪だ。致命傷になる」(関係者)との怒りも出ている。
鶴保氏は、1998年参院選和歌山選挙区に自民党公認で立候補し、初当選した。現在当選5回で、今回は非改選。
2016年8月、第2次安倍内閣で、沖縄北方担当相として初入閣したが、同年11月、沖縄県の米軍施設工事への反対派をめぐり「土人」となじった機動隊員の発言について、差別とは断じられないとの見解を表明した。記者会見で撤回を求められたが拒否し、波紋を広げたことがある。当時の金田勝年法相は「差別用語に当たる」との認識を示しており、野党は鶴保氏に辞任を求め、与党公明党幹部からも批判が上がった。
私生活では、2001年に自民党の野田聖子衆院議員との事実婚を公表し、話題になった。2006年に関係を解消したが、野田氏が2021年の自民党総裁選に立候補した際は、鶴保氏が推薦人に名を連ねた。
鶴保氏は8日の会合で、地震発生後、被災者が住む地域以外でも住民票の写しを取得できるようになるなど、政府が進める「2拠点地域居住」の取り組みに言及する中で「運のいいことに能登で地震があったでしょう」と発言。「金沢にいても輪島の住民票が取れるようになった」「やればできるじゃないか、という話をした」などと述べ、その後、発言を撤回した。
能登半島地震が起きた石川や、鶴保氏の地元で、今回の問題発言が飛び出した会合が開かれた和歌山は、自民党にとってともに、参院選の勝利の鍵を握るとあされる32ある「1人区」の選挙区だ。鶴保氏は9日の会見で、議員辞職や離党は否定したが、自民党の戦いに影響しかねない問題に発展する可能性もある。

