秋篠宮妃紀子さまが11日、59歳の誕生日を迎え、ご夫婦の近況や、ご家族についての心境をつづったコメントが同日、ご夫妻の近影とともに、宮内庁公式サイトに公開された。昨年元日に発生した能登半島地震の被災地への思いも寄せた。
ご近影では、秋篠宮邸でブルーの洋装の紀子さまが、紺ジャケット姿の秋篠宮さまと並んで笑顔を見せる写真や、互いに目を合わせて語りあう様子などを公開。8月に訪れた広島・原爆養護ホーム舟入むつみ園の入所者から贈られた折り鶴を見つめるカットも公開された。また、コメントは、宮内記者会の質問に文書で答える形が取られた。
紀子さまは、この1年間にあった「大切な出会い」として、昨年9月の誕生日の数日後に訪ねた金沢市と奥能登の珠洲市、今年の3月と5月に再訪した珠洲市での出来事、出会いをあげた。「珠洲市を訪ねた直接のきっかけは、自治体の集団検診でした。私が総裁を務める結核予防会の全国の支部では、事業の一つとして、住民向けの集団検診を市町村から委託されておこなっています。昨年元日に起きた能登半島地震で、奥能登地方は大きな被害に見舞われ、結核予防会石川県支部を兼ねる石川県成人病予防センターが春におこなう予定だった検診が延期になりました。その後、9月から輪島市、珠洲市、穴水町、能登町で検診が順次実施されるとの連絡を受けて、公的な日程との関係で都合がつく珠洲市の検診会場に行くことにしました」と経緯を説明した。
現地を訪れた感想も吐露。「検診会場の珠洲市健康増進センターには、雨漏りや廊下にできた段差など、震災の影響が残り、検診に携わる医療関係者の中には、ご自身も被災しながら避難所で住民の支援にあたってきた方もいました。被災した方々が不安や心配を抱えつつも、互いに助け合い支えあっていることに胸が熱くなりました」とし、「また全国のボーイスカウトが被災地支援のために集めた募金を活用し、ボーイスカウト石川県支部が中心になって市役所前の広場でおこなっていたイベントに参加しました。つきたてのお餅で作ったお大福を手渡していたときに、地元の人たちがいろいろな思いを率直に話してくださったことも心に残っています」と振り返った。
その後、能登が豪雨被害にあったことも説明。「東京に戻ってから数日後、奥能登地域が豪雨に見舞われ、地震からの復旧・復興に向かっていた矢先に再び被災した現地の人たちのことを案じていました。なにかできることがないかと思いながら、次に訪ねる時期を考えました」と当時を回想し「奥能登の海岸沿いに桜の花が咲いていた今年3月に、再び珠洲市の健康増進センターへ、お母さんと子ども、保健師の皆さんに会いに行きました」と紹介。「その中には、昨年4月、出産をひかえて奥能登から避難していた金沢市の施設でお会いした当時妊婦だった方々もいらして、その後生まれた子どもと一緒に遊んでおられ、また出産を控えているお母さんもいらして、皆でしばらくお話をしたり、絵本を読んだりしました。センター長に誘われて、上の階に上がると20名近くの食生活改善推進協議会の皆さんが賑やかに話し合われ、その中には昨年9月の広場でのイベントに参加された方々もいました。協議会の説明とともに珠洲の郷土料理、ふるさとの味を紹介してくださいました。その後訪れた地元の人たちの交流スペースでは、被災後の生活や地震と津波で被害を受けた『キリコ』(祭礼で担がれる大きな切子灯籠)のお話、お祭りに向けての想いや願いも語ってくださいました。お目にかかった方々の語る言葉から、ふるさとを思う強い気持ちが伝わってきました」と記した。
紀子さまはまた「そして今年5月の下旬、一日を珠洲市民図書館で過ごしました」と報告。「地震のために図書館の建物の外周には段差ができましたが、書架から落下した本を収め直し、安全を確保しながら地震の8日後に開館したそうです。館内には、中高生がおしゃべりをしたり、勉強をしたりできる部屋もあり、仮設住宅に住む市民も含めて珠洲の人々の憩いの場所として利用されていると伺いました。また、図書館が市民の待ち合わせ場所にもなっており、落ち着く、安心できる大切な場であることを感じました。またその図書館では、東日本大震災の後に子どもの心のケアとして、キャンプや子育てイベントの活動を福島県などでおこなってきた仲間たちと『おもちゃ あそびのひろば』を開催しました。子どもたちやご家族とおもちゃを作ったり、絵本を読んだりするイベントです。私は装飾と絵本の係の一人だったので、図書館に到着後すぐに、図書館の関係者とも相談して、白い壁に茶色のフェルトを切って作った大きな木の枝に色紙の花を咲かせ、蝶や青虫、カエルなどの生き物が暮らす『ひろば』を作りました」と、当時の公務を明かした。
さらに「昨年9月に珠洲を訪ねて以来親しくなった知人も一緒に手伝ってくださいました。広場に集まってきた園児や小学生の子どもたちに絵本を読んだり、子どもが手に取った本を見ながら一緒に話を作ったり、絵本を読みながら内容に合わせて身体を動かしたりと、本の世界を子どもたちと思う存分楽しみました。会場で、子どもたちに民話や昔話の読み聞かせをしている珠洲の『どんぐりの会』の方々にお会いできたことも、心に残る出来事でした」と、能登での出会いを振り返った。

