<1>96年「息をのむマッチレース」=優勝馬ナリタブライアン

94年の年度代表馬ナリタブライアンと、95年の年度代表馬マヤノトップガンが2度目の対決となった。

94年の3冠馬ブライアンは、95年阪神大賞典1着後に故障が判明。復帰後の95年秋は、天皇賞・秋12着→ジャパンC6着→有馬記念4着と本来の走りを取り戻せないまま、96年初戦を迎えていた。

一方のトップガンは、95年有馬記念でブライアンをはじめ、強豪古馬を撃破して優勝。勢いに乗っての4歳初戦(当時表記は5歳)だった。

レースは2周目3コーナーで田原騎手のトップガンが早々と先頭。外から武豊騎手のブライアンが並びかけて、一騎打ちの形になった。

4コーナーから直線も馬体をぴったり併せたまま、互いに1歩も引かぬたたき合い。ゴール前で内からトップガンが少し出たように見えたが、最後の最後に外からブライアンが差し返し、頭差でブラアインが制した。2着トップガンから3着馬は9馬身差だった。

ちなみに、2頭の馬連配当は210円だった。

阪神大賞典を制したナリタブライアン(右)、2着マヤノトップガン(1996年3月9日撮影)
阪神大賞典を制したナリタブライアン(右)、2着マヤノトップガン(1996年3月9日撮影)

<2>12年「まさかの逸走から復帰も…」=優勝馬ギュスターヴクライ

主役は前年の年度代表馬オルフェーヴル。3冠+有馬記念を制し、12年初戦は単勝1・1倍という圧倒的な支持を受けた。

前半は好位の外を追走。2周目の1~2コーナーでは手応え良く2番手へ。さらに、向正面では早くも先頭。そのまま押し切るかと思われた2周目3コーナーで突然、外へと逸走してしまった。馬群に内からかわされ、大きく取り残されるまさかの展開に、場内は騒然とした。

しかし、馬群を見つけたオルフェは再び加速して取り付くと、外からまくって直線ではいったん先頭。あんなことがあっても勝つのか…と、ファンは再びわいたが、さすがに最後は内から伸びたギュスターヴクライに半馬身だけ前に出られて、2着に敗れた。

それでも、規格外の“強さ”を見せた、印象的な一戦だった。

阪神大賞典を制したギュスターヴクライ、2着オルフェーヴル(2012年3月18日撮影)
阪神大賞典を制したギュスターヴクライ、2着オルフェーヴル(2012年3月18日撮影)

<3>15年「史上初の3連覇」=優勝馬ゴールドシップ

13年、14年と連覇したゴールドシップは、この年も単勝1・6倍という圧倒的な1番人気だった。

スタート直後は行き脚がつかなかったが、岩田康騎手が気合をつけると、10頭立ての中団へ。2周目の向正面で少しポジションを上げて直線を向くと、上がり最速の脚で押し切った。

阪神大賞典の3連覇は史上初。3年とも単勝オッズは1倍台(13年1・1倍、14年1・7倍)だった。ちなみに、2着馬は13年デスペラード、14年アドマイヤラクティ、15年デニムアンドルビー。

直後の15年天皇賞・春も制し、G1・6勝目を挙げた。

阪神大賞典 デニムアンドルビーを突き放しゴールに向かうゴールドシップ(2015年3月22日撮影)
阪神大賞典 デニムアンドルビーを突き放しゴールに向かうゴールドシップ(2015年3月22日撮影)