エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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「無事これ名馬」という言葉があるように、故障なくコンスタントに走り続けることは、サラブレッドにとって実は簡単なことではない。どんなに能力が高くても、ケガや病気で能力を発揮できないまま終わってしまう馬もたくさんいる。400から500キロという重い体重を細い脚で支えて速く走らなければならないので、脚部の健全さは特に重要である。

まず前脚についてだが、曲がっておらずまっすぐな脚が一般的に良いと言われている。写真のように横から見た場合、地面と垂直にまっすぐ伸びている脚である。

逆に曲がっている脚、特に弓のように反って曲がっている脚、いわゆる「弓脚(ゆみあし)」は、育成中に故障が発生しやすいようで問題が大きい。ただ脚が完全にまっすぐな馬はむしろ少ないので、最初はどこまで反っていれば弓脚なのか悩んだが、今は以下の方法でなるべく客観的に判断するようにしている。

まず写真の左前脚の付け根の真ん中の位置に小さな点を打ち、そこから定規で蹄(ひづめ)の後ろ辺りまで垂線を引く(以下「前脚線」という)。この線が膝の真ん中を通って蹄の少し後ろに下りるのが、上記のまっすぐな脚と考えられる。

馬によってはこの線が膝と管(すねのように見える部位)のかなり前を通る馬がいて、私はこれを「上弓脚」と呼んでいる。すなわち前脚の膝の上の部分がかなり反っている馬である。前脚線が管の前のラインと重なる場合はリスクがあるが、ぎりぎり許容範囲としている。しかし少しでも前に離れる場合は様子を見るようにしている。

他方、前脚線が膝の後方を走り、蹄の後ろからかなり離れた所に下りる馬もいる。前脚の膝の下が反っている場合であり、私はこれを「下弓脚」と呼び、前脚線が蹄と3.5ミリ以上離れる馬も様子を見るようにしている。

これは立たせ方にもより、前体重であれば上弓脚に見え気味で、後ろ体重であれば下弓脚に見えがちだが、上記基準ほど弓脚が極端な場合は、いずれにしても様子を見た方が無難だと思う。

逆に「湾膝(わんしつ)」と言い、カタログ写真で言えば前脚が「く」の字型に、弓脚とは逆に曲がっている馬がいる。ただ生まれた時はたいていの馬が湾膝で、競走能力への影響も少ないようなので、極端でない限り気にしないようにしている。