ランフランコ・デットーリ騎手の引退撤回、米国移住による現役継続のニュースには驚かされましたが、今年の活躍ぶりを見ると宜(むべ)なるかな。これで来年のケンタッキーダービーを見る楽しみが増えたようです。

さて、11月4日(土曜)のブリーダーズカップまで、あと3週間になりました。

ここへ来てメイケイエールの参戦も決まり、出否未定のウインマリリン、ウインカーネリアンの動向いかんによっては最多で日本馬8頭が大舞台に登場することになりそうです。それぞれの競走の出走予定馬を整理してみましょう。

【BCクラシック】

ダート2000メートルの“クラシック”にはドバイワールドCの覇者ウシュバテソーロ(牡6、高木、父オルフェーヴル)と、UAEダービー優勝、ケンタッキーダービー6着のデルマソトガケ(牡3、音無、父マインドユアビスケッツ)が参戦予定です。フルゲートは14頭で、ウシュバテソーロはすでに出走枠を確保。デルマソトガケも出走にこぎつけるものとみられています。

今年の米国ダート中距離戦線は昨年のフライトラインのような強いリーダーが不在。3冠最後のG1ベルモントSと“真夏のダービー”G1トラヴァーズSを連勝中のアルカンジェロ(牡3、父アロゲート)が押し出される形で、暫定的な本命馬となり、トップホースの相次ぐ引退で層が薄くなった古馬陣からは8月のG1ホイットニーSを6馬身4分の1差で制したホワイトアバリオ(牡4、父レースデイ)が代表に浮上しています。

ドバイワールドCを後方一気に決めたウシュバテソーロはもちろん、ケンタッキーダービーで出遅れる不利がありながら直線だけで6着まで順位を上げたデルマソトガケも十分に勝負になりそうな組み合わせです。

【BCターフ】

芝2400メートルの“ターフ”には一昨年のダービー馬で、昨年のG1ドバイシーマクラシックを制したシャフリヤール(牡5、藤原英、父ディープインパクト)が出走予定です。このレースの主役は欧州馬、中でも春に英・愛ダービーに優勝、前走の愛チャンピオンSで強敵を退けたオーギュストロダン(牡3、父ディープインパクト)が強敵になりそうです。欧州馬でこれに次ぐモスターダフ(牡5、父フランケル)は21日(土曜)の英チャンピオンズデーに行われるG1英チャンピオンS(芝2000メートル、アスコット)に参戦予定。英チャンピオンSには、この他に凱旋門賞で3着に健闘したオネストなどBCを視野に入れる複数の欧州馬もエントリーを済ませていて、結果次第で複数頭が海を渡りそうです。地元の代表は昨年の3着馬で、10月7日のG1ジョーハーシュターフクラシックを差し切ったウォーライクゴッデス(牝6、父イングリッシュチャンネル)。のど鳴りの手術を経て、参戦にかじを切ったシャフリヤールが強敵を相手にどんな競馬をするかが見物です。

【BCマイル】

芝1600メートルの“マイル”には、G2毎日王冠2着から向かうソングライン(牝5、林、父キズナ)が挑戦を決定、ウインカーネリアン(牡6、鹿戸、父スクリーンヒーロー)が予定レースとしています。ここも本命候補は欧州馬。7日のG1サンチャリオットSを制して、欧州で5つ目のG1制覇を飾ったインスパイラル(牝4、父フランケル)が、牝馬限定の“フィリー&メアターフ”に矛先を向けたため、21日のG1クイーンエリザベス2世Cから向かうものとみられるパディントン(牡3、父シユーニ)が人気を集めそうです。左回りのマイル戦でソングラインが逆転候補の筆頭に。東京新聞杯のように単騎で逃げることができればウインカーネリアンも侮れません。

【BCターフスプリント】【BCフィリー&メアスプリント】

メイケイエール(牝5、武英、父ミッキーアイル)は芝1000メートルの“ターフスプリント”と、ダート1400メートルの“フィリー&メアスプリント”にエントリーしました。“ターフスプリント”の前売り1番人気は英国調教馬で、前走のG1アベイユドロンシャン賞(芝1000メートル、パリロンシャン)に優勝したハイフィールドプリンセス(牝6、父ナイトオブサンダー)、“フィリー&メアスプリント”の前売り1番人気は昨年の2着馬で、今シーズンは前走のG1バレリーナハンデキャップ(ダート1400メートル、サラトガ)まで3戦3勝(通算11戦9勝)のエコーズールー(牝4、父ガンランナー)となっています。G1競走ではもうひとつはじけなかったメイケイエールですが、そのスピードに見どころがあり、どちらのレースに出ても好勝負になるはずです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2023年10月12日現在

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