夏の北海道シリーズが、今週の函館からスタートする。開幕週のメインは、サマースプリントシリーズ第1弾、函館スプリントS(G3、芝1200メートル、12日)だ。注目は人馬ともG1初参戦だった高松宮記念で17番人気3着の激走を見せたキルロード(せん7、田村)と菊沢一樹騎手(24=菊沢)のコンビ。G1好走の力を示し、重賞初Vを狙う。

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高松宮記念であっと驚く激走を見せたキルロードに注目だ。人馬とも前走が初めてのG1参戦。17番人気の低評価だったが、好位追走から直線でいったんは先頭に立ち、3着に粘り込んだ。逃げた1番人気レシステンシアが6着に沈んで、掲示板の他4頭は差し・追い込み馬。先行勢に厳しかった展開でしぶとさを発揮した。田村師は「人気はなかったかもしれないけど、厩舎的には自信があった」と振り返っていた。中間の調整は順調。輸送を控えた1日の1週前追い切りも美浦ウッドで力強く動き、「少し休ませて、びしっとやっている。安定しているし、充実しているのを感じますよね」と好感触で送り出す。

鞍上の菊沢騎手にとっても期するものがある北上になる。昨年は18年夏以来3年ぶりに北海道に滞在したが、函館・札幌では未勝利に終わった。「僕にとっては苦い思い出です。ジョッキーのレベルが高く勝つことができませんでした。ただ、すごく勉強になりました。それがたぶん、今の僕につながっていると思います。乗せてもらっている関係者の方に感謝ですね。今いい流れで来ているので気を引き締めたいと思います」と襟を正す。デビュー7年目で初めてG1舞台を経験したことをステップにする。「もう少しだったので悔しかったです。ただ、普段のレースでは味わえないようなジョッキーのぴりつきやお客さんの歓声を肌身で感じることができました」と記憶に焼き付けた。

前走がフロックでなかったことを示す一戦になる。函館コースへの対応に関しても「精神面にむらがないし、直線も最後まで走り切ってくれる。小回りで直線が短いのはこの馬にはプラス。先行力があるし、いいイメージで臨めます」と手応えを持っている。大舞台を経験した人馬が北の地で躍動する。【三嶋毬里衣】

◆函館千二はカナロア天国!? 19年以降の函館芝1200メートルの種牡馬成績を見ると、ロードカナロア産駒が【14・13・7・63】で最多勝。9勝の2位ダイワメジャーに5勝差だ。函館スプリントSでもキルロードなど産駒5頭が出走を予定している。

◆函館SSの7歳以上馬の成績 過去10年(昨年のみ札幌で施行)で24頭が出走し【1・1・1・21】。14年に7歳で勝利したガルボ(58キロ、8番人気)は高松宮記念11着からの参戦だった。