師匠の心遣いに応えたい。エプソムCでトーラスジェミニに騎乗する原優介騎手(22)は「こればかりはお礼を言っても仕方がありませんからね。結果を出すしかないです」と熱い思いを口にした。

親心あふれるG3登場だ。昨年の安田記念5着馬。当初は今年も安田記念に出走予定だったが、思いを改めた。師匠の小桧山師は「子どもたちを抱えているからね。乗り替わりで結果が出ると、戻してあげられないでしょう」と話す。原騎手は現在、JRA通算25勝。G1騎乗が可能となる同30勝に到達しておらず、参戦するのであれば乗り替わりは必須条件だった。弟子と重賞路線を歩むため大舞台参戦から進路を変えた。

もらったチャンスでやることは1つ。原騎手は「何が何でも逃げます」と心を決めている。狙うは18番人気だった20年3着(当時は木幡育騎手)の再現だ。「時期的に暖かい方がいいのかな。体調も上がっていますし、道悪も大丈夫で頭数も多くないですから。うまく後ろに脚を使わせられれば」。道中ハナに生き残りの目を見いだす。師匠の愛情もその逃走劇をきっと後押ししてくれる。【松田直樹】