キーファーズが共有するアイルランド調教馬のブルーム(牡6、A・オブライエン、父オーストラリア)が英国王室の主催するロイヤルアスコット開催最終日に行われた注目の一戦を制した。

ハードウィックSは上半期の大一番、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1、芝2390メートル、7月23日=アスコット)へ向けた大事な古馬の前哨戦。今年は昨年の凱旋門賞3着以来の復帰戦となったゴドルフィンのハリケーンレーン(牡4、C・アップルビー、父フランケル)が単勝1倍台の圧倒的な人気を集めていたが、主役となったのは、日本ダービーをドウデュースで制したキーファーズの勝負服だった。

大外7番枠からスタートしたブルームはライアン・ムーア騎手を背にただ1頭、ラチから離れた馬場の真ん中を走る形で先行。先頭で最後の直線を迎えると、懸命に追う他馬を最後は突き放し、2着モスターダフに3馬身4分の1差をつけてゴールした。勝ちタイムは2分30秒07。鞍上のムーアは「すごく仕上がりが良かったです。以前に乗って私が知っているブルームとはまったく別の馬でした」と絶賛した。1番人気のハリケーンレーンは3着に敗れた。

ブルームはこれが重賞6勝目。昨年のハードウィックSは1番人気で2着だったが、そのリベンジを果たし、ロイヤルアスコット開催初勝利を挙げた。管理するエイダン・オブライエン調教師はこの勝利で通算の重賞勝利数が900勝となった。師は「ライアン(ムーア)が素晴らしい騎乗をしてくれました。ブルームは6歳になりましたが、不思議なことに今、キャリアのピークがきているように思います。彼は今年、最高の1年を過ごすと思います。(昨秋の)ジャパンC(11着)のレース後に他馬に蹴られたため、骨折があって長く休みましたが、(前走の)タタソールズゴールドCで強敵相手に5着に入りました。とても長くいい脚を持っていて、簡単には負けません。キングジョージでここに戻ってくることを検討します」とコメントしている。

レーシングポスト電子版はジャパンCの負傷後から同馬に携わってきたJRAロンドン事務所・草野寛一所長の喜びの声を掲載。昨年はサンクルー大賞でG1初制覇を果たし、秋にBCターフで2着に好走したブルームは次走に予定される「キングジョージ」でどのような走りを見せるのか。秋にフランスで行われる凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)にも登録は済ませており、今後の結果次第では、武豊騎手を背にした日本ダービー馬ドウデュース(牡3、友道)とともにキーファーズの強力な“凱旋門賞2頭出し”が見られるかもしれない。