ラストチャンスをものにする! 日曜メインの函館記念(G3、芝2000メートル、17日)でスカーフェイス(牡6、橋田)が、重賞初制覇を狙う。勝てば、管理する橋田満調教師(69)は史上7人目のJRA全10場重賞制覇となる。数々の思い出がよみがえる函館で、偉業達成を目指す。

これまで6人しか達成していない偉業達成なるか。来年2月に定年を迎える橋田師は今回がJRA重賞全10場制覇への最後の挑戦だ。木曜朝、スタンドから調教をチェックする師は静かにこう語る。

「函館はいい。以前からずっと来ている。昔のスタンドの時からかな。(ディープインパクトなどを管理した)池江泰郎さんと(調教、レースを)見ていた。懐かしい」

数々の思い出がよみがえる。JRA・G1・11勝をはじめ重賞63勝を挙げる名伯楽にとって、函館競馬場は特別な場所だ。重賞こそ24戦して02年函館記念のトーワトレジャー3着が最高着順だが、通算勝利数は全10場中4番目に多い71勝と結果を出している。

「なんと言っても馬にとって気候がいい。芝コースが洋芝に替わってからはより競馬が面白くなったよね。得手、不得手があるし、これまで以上に適性が出せる機会が増える。未勝利戦の最後の時期でもあったから」。

適材適所で最高のパフォーマンスを引き出す。師は馬の特徴を正確に見極め、多く勝利をつかんできた。

7人目の快挙へラストチャンスとなった今年の函館記念にはスカーフェイスを送り出す。デビュー22戦目で初の函館だが、「時計はかかる方がいいし、洋芝は合うと思って連れてきた。チャンスはあると思う」と自信をのぞかせていた。調教師人生最後の函館で有終の美を飾れるか。「我々の仕事はそういう(記録)のを気にせず淡々とこなすだけだから」と師らしく平常心でレースに向かう。【藤本真育】

◆橋田師の重賞勝利 重賞初勝利は開業3年目の87年小倉3歳S(ポットナポレオン)。G1初制覇は90年マイルCS(パッシングショット)。JRA重賞は通算63勝、G1は11勝。海外G1はディアドラで19年の英ナッソーSを制している。