海外遠征を糧に、飛躍した姿を見せる。ドバイシーマクラシックを5着で終えたユーバーレーベン(牝4、手塚)が札幌記念(G2、芝2000メートル、21日)で帰国初戦を迎える。3月末から参戦プランを明らかにし、札幌滞在で調整を積んだ。再始動に向けて準備は整っている。連覇を狙う白毛馬ソダシと同期の青鹿毛のオークス馬も争覇圏の1頭だ。

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世界を知るのは成長するための1歩だ。日本国内だけでは経験できないことを海外に求め、歴史に名を残す偉人たちは海を渡っていった。馬もそう。海外レースをこなした馬は風格が違う。夏の札幌で入念な調整を行っているユーバーレーベンがそうだ。

今年3月に初の海外遠征でドバイシーマCに挑戦。後方から脚を伸ばす自分の競馬を貫き、1着シャフリヤールと首+半馬身+短頭+半馬身差の5着。負けはしたものの、力の差は世界とそこまで大きくないことを証明した。その翌週にはすぐに札幌記念参戦を表明。陣営は早くから夏の北海道での再発進を描いた。手塚師は「ここから始動するのは予定通り。北海道でしっかり休ませた」と語っていた。

7月下旬から札幌競馬場で馬場入りした。徐々に環境に慣れ、馬体はかなり仕上がってきた。キャンターは素軽く、追われると力強い。めりはりのはっきりした走りに経験値の高さを思い知らされる。矢嶋助手も「体調はすごくいいです、体もまだ気持ち緩いので、運動量を上げて絞ろうと思います。環境もいいのかな」と好感触。1週前には札幌芝コースで追い切り、5ハロン66秒8-12秒2。マイネルメサイア(3歳1勝クラス)を内から1馬身半追走し、余力を残しながら2馬身先着した。同助手は「徐々にペースが上がってきた。この馬は夏も悪くないし、加減する必要なく、ばりばりやれています」と最終追い切りを前に不安はない。海外経験を積み、心身ともに上昇したオークス馬が北の大地で存在感を示す。【舟元祐二】

◆オークス馬の札幌記念成績 G2となった97年以降は、のべ6頭が出走し【2 2 0 2】と好相性。エアグルーヴが97、98年に1番人気で連覇(両年とも武豊騎手)している。3歳で出走したブエナビスタは09年に2着に惜敗。昨年はラヴズオンリーユーがソダシの2着だった。

◆ユーバーレーベンと札幌 過去に1回だけ走ったのが、2歳コースレコード決着だった20年札幌2歳S。序盤は最後方ながら向正面から猛追し、早め先頭のソダシと首差の2着まで追い上げた。3着馬は14日にジャックルマロワ賞を走ったバスラットレオン。