友道康夫調教師(59)は今年、ドウデュースで現役調教師では最多となる3度目のダービー制覇を果たした。その愛馬で挑む凱旋門賞は、自身にとって2度目。初挑戦だった16年マカヒキの経験を最大限に生かす構えだ。

ドウデュースと同じくその年の日本ダービー馬として遠征したマカヒキは、前哨戦のニエル賞を勝利。本番でも日本国内では単勝1番人気の期待を背負ったが、14着に敗れた。当時を振り返り、友道師は前哨戦をポイントに挙げる。「初めてだったし、勝ちにいくじゃないけど、ある程度仕上げていったからね。その分、本番ではお釣りもなかった」。初のフランス遠征は悔しい結果に終わった。

あれから6年。その間にヴィブロスで17年ドバイターフ、アドマイヤマーズで19年香港マイルと海外G1・2勝。満を持して再びフランスに渡る。「前回は初めてのことばかりで分からないところもあったけど、今回は見覚えのある調教場だしシャンティイの街もそう。1回目とは全然違うよね」。前哨戦もしかり。ニエル賞でドウデュースは4着に敗れたが、戦前から「調教代わり」と位置づけていた。

6年前の経験から、馬体にも陣営にもいい意味での“余裕”があったのは間違いない。「レース後の体の方がちょうどいいくらいだったからね。若干の余裕残しで競馬を使って、たたいて良くなっているという感じ。1回使った上積みは大きいと思う。馬場を経験したことも大きいし、走り方も次は変わってくると思うよ」。悔しい敗戦を力に変え、リベンジの時だ。【奥田隼人】

◆友道康夫(ともみち・やすお)1963年(昭38)8月11日、兵庫県生まれ。89年に栗東・浅見国一厩舎で厩務員、調教助手。96年から松田国英厩舎。01年に調教師免許取得。02年開業。08年天皇賞・春のアドマイヤジュピタでJRA・G1初制覇。16年マカヒキ、18年ワグネリアン、今年のドウデュースとダービー3勝は現役調教師で単独トップ。JRA通算4497戦652勝。重賞54勝、うちG1・16勝。