名古屋G3では、1着インタビューを行なうすぐ横に選手会愛知支部のブースがある。愛知支部が盛り上げるので1着選手の素の顔が見られる。あまり笑顔を見たことがない木村皆斗は降壇する時に同期の顔を見たのだろう。肩をすくめておどけるポーズをするいい雰囲気だった。

2予は地元選手の落車もあり、どんよりした感じの地元勢だったが、7Rの吉田敏洋は周りの空気を読みながら「先行できんかったですわ」と見栄を張った。落車のアクシデントに巻き込まれそうになり後輪が破損した。目標にした平野想真が打鐘前にいなくなり、頭が混乱したと思う。後ろを警戒しながら誰かが来るのを待つ。遠藤拓巳が来て3番手に入るが、自転車が重いのは感じていたと言う。「バックホークに当たるまで車輪は振れてなかったのを確認して、ゴールまで車輪がつぶれないでくれ」と思いながら走っていたようだ。

後輪破損にもかかわらず準決に進んだ吉田敏洋にヤマコウはエールを送った
後輪破損にもかかわらず準決に進んだ吉田敏洋にヤマコウはエールを送った

彼や山内卓也は中部の全盛期を知る数少ないS級選手だ。今の手薄な中部勢をなんとかしたいと思い、アマチュア選手の世話をしている。右も左も分からない彼らにとって、手取り足取り教えてくれる存在は心強いだろう。毎日タイムを計れば「気にしてもらっている」緊張感が彼らを強くするだろう。敏洋は「昔のようなスパルタではなく、今の子に合った指導を心掛けている」という。その結果、今年は養成所に名古屋地区9人が合格した。豊橋地区を入れると14人の大所帯だ。準決10Rは目標にする中釜が、ワンテンポ早い仕掛けをしているので敏洋にも十分チャンスがある。(日刊スポーツ評論家)