王者復活の可能性は? クリスマス決戦となる今年の有馬記念(G1、芝2500メートル、12月25日=中山)は、今年の古馬中距離G1を勝った全ての馬が参戦するなど、G1馬7頭が集結する豪華な一戦となった。

昨年の優勝馬エフフォーリア(牡4、鹿戸)は大阪杯9着、宝塚記念6着と今年2戦でまさかの連敗。半年の休養をへて、連覇に向けて立て直しを図ってきた。同馬を所有する(有)キャロットファームの秋田博章社長(74)は獣医師でもあり、元ノーザンファーム場長。復調への道のり、V2への見通しを語った。

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-いつごろ、有馬記念参戦を意識できるようになったか

秋田社長 10月10日くらいには回復度合いが急ピッチで良くなってきたと感じました。肌つや、筋肉をみてだいぶ復調しているかなと思いました。北海道に戻して1カ月半くらいで元気が出てきて、競馬に向けてしっかりした調教を積んでいけば間に合うかな、と。体調面は10月後半くらいに、こちらが考えている範囲内に入ってきたというところです。体重も増えていましたが、その時期から調教ピッチを上げていきました。瞬発力を引き出すための筋力がどれほど備わっているかというところで100とは言えませんが、90、95くらいまでにはきていると思います。

-90、95となると去年の状態に近い

秋田社長 見た目は95でしょうね。あとは実際のパフォーマンスが、春の2戦のパフォーマンスからしてどこまで、というところでしょう。不安だとは全然思っていませんが、連覇を狙うに至るまでの結果が良くなかったので。ここにきて急ピッチで体が戻ってきて、走る気も出ています。急上昇を描いているのは間違いありません。活気が春2戦とは違います。2週前はどうかと思いましたが、先週は馬なりでもそれなりの時計が出ていますから。馬は2、3日でも変わります。変わる幅がエフフォーリアに関しては大きいのかもしれません。

-いい意味でリセットができたということか。

秋田社長 リセットが正しい表現かは分かりませんが、その瞬間、瞬間で気になるところが改善されてきました。胃は大丈夫か、ストレスを抱えていないか、などです。北海道で気分転換をすることで、毛づやも変わって元気も出てきましたし、気になっていた右トモの歩様も改善していきました。それでも長い期間、不振の競馬をした馬ですからね。有馬記念を使いたいと思っていたので、逆算していろんなことを考えて、移動や装蹄などの時期ごとに間に合わなければやめることも考えていました。

-ノーザンファーム天栄に移動してからの調整について

秋田社長 11月21日、28日に馬を見に行って、その1週間でも馬がずいぶん変わっていると感じました。ノーザンファーム空港にいるときも毎週のように装蹄師と馬をチェックしていましたし、ノーザンファーム天栄に移ってからもスタッフとコミュニケーションを重ねてきました。状態面と蹄にかかる負荷を繰り返し、検証してきました。

-今回は前走で装着していたブリンカーをつけないとうかがった。メンタル面の改善は

秋田社長 今年の2戦は手前の替え方が良くないとジョッキーから聞いていましたし、稽古でもそれが見受けられてきましたが、今回に関してはそういうことが解消されてきました。体の使い方がうまくできるようになってきたことで、そこの問題がなくなってきた。思うように走れるようになったことで、馬に活気が出てきました。手前が替えられるということは、体が使えるようになっているということ。元の状態に戻ってきたと解釈されていいと思います。となると、もともとおとなしい馬でもないですから、だんだんと前向きにもなってきます。宝塚記念では調整段階を含めてブリンカーをつけてなんとか前向きにさせていたけど、現状では必要がないと思います。

-馬体重は

秋田社長 宝塚記念は520キロで出走していますが、10キロ前後増えて当然かなと思っています。トモに筋肉がついて、キ甲が出て、その周りにも筋肉がつきましたから。例えば、532キロくらいあってもいいと思います。

-連覇への意気込みを

前年度チャンピオンとしては、もちろん勝つつもりで出します。今年は2つのレースで人気を下げてしまいましたが、頑張ってほしいですし、期待しています。

◆秋田博章(あきた・ひろあき)1948年(昭23)2月25日、北海道新冠町生まれ。静内高、岩手大学を卒業後、72年に日高地区の農業共済組合で獣医師となる。80年に旧社台ファーム入社。93年にノーザンファームの場長に就任。13年に同顧問へ。15年から(株)キャロットクラブ取締役となり、18年12月に(有)キャロットファーム社長就任。

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