1番人気レモンポップ(牡5、田中博)が新ダート王の座に就いた。好位から抜け出し、根岸Sに続く連勝。G1初挑戦でビッグタイトルをつかんだ。

「種牡馬にしなければいけない馬だと思います。そのためにタイトルを取りたい」。田中博康調教師(37)は戦前からレモンポップ(牡5)の底知れない可能性、血統的な魅力を感じてきた。

父レモンドロップキッドは99年ベルモントS、トラヴァーズSなど米国でダートG1・5勝の名馬。アーリントンミリオンなど芝のG1で活躍した産駒ビーチパトロールがすでに後継種牡馬として日本でけい養されており、ミスタープロスペクター、キングマンボという父系で、日本の競馬にフィットしやすい印象がある。

注目すべきはレモンポップの牝系だ。祖母の全兄はデインヒル。欧州だけでなく、南半球(オーストラリア、ニュージーランド)など世界中でその血を広げた大種牡馬で、競馬関係者に知らないものはいない。5代母はナタルマ(大種牡馬ノーザンダンサーの母)。6代母アルマームードも有名で、その孫ノーザンダンサー、ヘイロー(サンデーサイレンスの父)が大種牡馬になっている。

根岸Sで重賞初制覇を果たし、フェブラリーSで念願のG1タイトルを獲得。18年のキーンランド・ノベンバー・ブリーディングストック・セール(米国)の3日目、パカパカファーム(ハリー・スウィーニィ代表)が7万ドルという安価な値段で落札した当歳の栗毛馬がレモンポップ。現役の競走馬として、将来的に種牡馬になるべき馬として、今後さらに注目を集めていくことになる。