これが“3歳女王”への最適解だ-。クラシック第1弾となる桜花賞(G1、芝1600メートル、9日=阪神)の最終追い切りが5日、東西トレセンで行われた。G1注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」では、大阪・奥田隼人記者が阪神JFを制した2歳女王リバティアイランド(中内田)の陣営に迫った。昨年12月以来の直行ローテーションが注目される中、併せ馬の本数が心身の成長を物語る。

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2歳女王から3歳女王へ。阪神JFを圧倒的なパフォーマンスで制したリバティアイランドは、確かな進化を遂げている。

最終追いはCウッドで川田騎手を背に、僚馬レッドラグラス(3歳未勝利)と併せ馬。1馬身半の追走から、直線は内から馬なりで1馬身先着した。時計は6ハロン84秒8-11秒2。ラスト200メートルはさすがの切れ味を見せた。鞍上は「とてもいい雰囲気で、気持ち良く走ってくれていたと思います」とうなずいた。

昨年12月11日の阪神JF1着以来、4カ月ぶりの直行ローテ。その理由について中内田師は「休み明けを苦にするタイプの馬ではないと思いましたので。十分に時間もありますし、仕上げるのに苦労する馬でもないので」と説明する。

ただ、今回は中間の調整で、これまでにない“異変”があった。併せ馬の本数だ。新馬戦の前は5本、中12週のアルテミスS前も5本、中5週の阪神JF前でさえ4本あったが、中16週の今回は2本しかない。2本で十分なのか。2本しかできなかったのか。師に核心を聞いた。

中内田師 馬自身も調教というものを徐々に理解し始めて、どのタイミングで馬自身が良くなってくるというのはここ3戦を使って把握できてきました。今回は先週と今週、併せればいい状態に持っていけるんじゃないかというイメージはありましたので、今回は併せ2回で競馬に臨みます。

結論は、2本が最大のパフォーマンスを出せる最適解だった。併せ本数の減少は“異変”ではなく、成長を示す“変化”と言える。

川田騎手は前走からの成長について「精神面でひとつ、成長してきたなと。穏やかに過ごせる時間がとても長くなったなと思います」と話した。さらに、師は「メンタルもそうですし、競馬に向かっての体の仕上がり方。そのへんが2歳から3歳になったという感じです」と陣営は確かな心身の成長を実感している。

年を重ね、大人の階段を1つ上った調整で挑むリバティアイランド。2歳女王に隙は見当たらない。【奥田隼人】

奥田の目 折り合いに苦労する面も見せず、残り4ハロンからは加速ラップで駆け抜けた。馬なりの直線も抜群の手応えで、追えばどこまでも伸びていきそうだった。