牝馬クラシック2冠目のオークス(G1、芝2400メートル、21日=東京)の追い切りが17日、東西トレセンで行われた。

調教を深掘りする「追い切りの番人」では、大阪本紙の太田尚樹記者が桜花賞4着のハーパー(友道)をマーク。“日本一の長距離軍団”友道厩舎のノウハウをつぎ込み、2400メートルで逆転をはかる。

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馬場開門から20分以上が過ぎた午前6時53分に、ハーパーは坂路へ姿を現した。朝日を浴びて筋肉の陰影がくっきり。躍動感あふれる走りで坂路4ハロン56秒2-12秒7を計時した。

友道師は「前回の東京で体が減った(クイーンCで12キロ減)ので、考慮しつつ坂路でやった。入りが少し遅くなったけど、しまいの反応は良かった。1回使ってさらに良くなったと思う」と上積みを見込んだ。

友道厩舎にとって2400メートル戦は望むところだろう。昨年1年間の平均出走距離1947メートル、芝2000メートル以上での23勝は、ともに東西トップ。現役最多ダービー3勝の“日本一の長距離軍団”は、日々の積み重ねで育まれている。

特徴的なのが朝一番だ。各厩舎の調教が集中する開門直後に、その姿はない。ふだんは管理馬を3つの時間帯に分け、第1陣が馬場へ入るのは開場から約20分後。指揮官は「馬場は荒れるけど、馬が少ない時の方が落ち着いて馬場入りできるし、リズム良くいけるので」と意図を明かす。毎日、せかされずにのびのびと走ることを教え込まれている。たしかに、調教でもレースでも、引っ掛かる馬はほとんど見ない。

ハーパーにも、その成果は着実に表れている。「乗ればおとなしいけど、以前はジッと立っていられなかった」(友道師)という精神面が徐々に良化。無駄な消耗が減った。もともとカイ食いに問題はなく、2度目の関東遠征なら馬体減の心配も少ない。

800メートルの延長に逆転の望みをかける。「桜花賞はエンジンがかかったところがゴールだった感じ。預かった時から第1目標はオークスと思っていた」。鞍上にはオークス現役最多タイ3勝のルメール騎手。ゆったりと育てられたハーツクライ産駒が、待ちに待った樫の大舞台で真価を見せる。【太田尚樹】