ダービー予想は「ダービー王」に聞け! 3歳馬7708頭の頂点を決める日本ダービー(G1、芝2400メートル)は明日28日、東京競馬場で発走する。

日本選手権競輪(ダービー)を制した“ホープ”山口拳矢(27)を、実父で元競輪トップ選手のヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)が直撃取材。拳矢は(15)ノッキングポイント(牡、木村)を激推し、ヤマコウは(8)メタルスピード(牡、斎藤誠)を推奨した。競輪界の勝負師親子は、穴馬2頭の「単複」で勝負する。

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競馬ファンの皆さん、こんにちは。先日、平塚競輪場で行われた日本選手権競輪(ダービー)を優勝した山口拳矢の父ヤマコウです。今回は、「日本ダービーを予想してほしい」という日刊スポーツからのむちゃぶりがあったので、断るわけにもいかず、私たち親子が優勝馬を予想します。

「お前ら誰やねん?」と思われてる方もいるでしょうが、血統を重んじる競馬の世界とは別に、競輪のダービーで優勝したのが血統書付きの次男拳矢です。史上3組目の親子G1に加え、私の弟(富生)もG1を優勝しています。おまけに私の父親も競輪選手(親子3代)、拳矢の兄貴(聖矢)も競輪選手という、血筋だけなら競馬にも負けない親子が対談でお届けします。

ヤマコウ 拳矢、あらためてダービー優勝おめでとう。

山口拳矢(以下、拳矢) おやじは、ダービー優勝はすごいなってず~っと言ってたもんな。そんなにすごいなんて思ってなかったよ。

ヤマコウ お前はダービーの重さが分かっとらん! 日本選手権やぞ。周りの反響もすごかったやろ?

拳矢 別にいつもと変わらんな~。ただ、取材が多くなったなって程度かな。

ヤマコウ そんなもんか…。だけど、賞金ランキング1位って新聞で見たら感じるものあるやろ?

拳矢 わざわざ新聞持って自己紹介するわけでもないから、何も変わらないよ。ただ、おやじの赤パン(S級S班の証し※競輪界最上クラスで9人しかいない)は、はいたよ。足が太く見えてかっこよかった。

ヤマコウ そっちか…。今回の日本ダービー、誰が優勝すると思う?

拳矢 俺はノッキングポイントかな。名前がいい。ノッキングやよ。

ヤマコウ アホか! ノッキングってのは、不完全燃焼ってことやぞ(※実際の馬名の意味は「アーチェリーで矢を弦につがえる場所」)。

拳矢 そうなんや。むちゃくちゃ名前がかっこいいなと思って。

ヤマコウ 俺はメタルスピードやな。名前がかっこいい。

拳矢 俺もそれにしようと思ったけど、ベタやからやめた。

ヤマコウ 3歳馬しか走れないダービーは、競馬界の最高峰のレース。親交ある(武)豊君や、横山(典弘、武史、和生)親子で走る馬も気になるが、ここは直感で勝負や。親子ジョッキーや兄弟馬が走るんやで、拳矢!

拳矢 俺は何とも思わんな~。でも、直線が長いのはいいね。俺の戦法でも届く気がする。

ヤマコウ しかし、(平塚では)拳矢もよく届いたな~。

◆競輪ダービーVTR 副賞込みで優勝賞金8600万円の競輪界最高峰レース。今年は平塚競輪場で5月2日~7日に開催。最終日の決勝、山口拳矢は最後の直線で外から強襲。先に抜け出した清水裕友を差し切り、初のG1決勝で見事に優勝を飾った。

【山口親子の本命馬“推し”ポイント】

◇ノッキングポイント 母チェッキーノは16年オークス2着。昨年6月掲載の「先取りクラシック番付」では大関に推された素質馬。デビュー5戦中3戦で上がり最速(タイ含む)をマークした末脚が武器だ。

◇メタルスピード 皐月賞4着。マイル戦で2勝しており、馬名の通りスピードが長所だ。調教の動きも良く、美浦ウッドで2週続けてラスト11秒0をマーク。日刊スポーツの最終追い切り評価では、皐月賞馬ソールオリエンスとともに最上級「S」を獲得した。

 

◆山口拳矢(やまぐち・けんや)1996年(平8)1月26日、岐阜県生まれ。日大中退。競輪選手養成所117期生として20年5月に小倉ルーキーシリーズでデビュー(1<1>(1))。7月の本格デビュー後にマークした20連勝は当時最多タイ。21年9月G2共同通信社杯(岐阜)で初のビッグタイトル。今年5月に平塚で行われたG1日本選手権競輪(ダービー)を制し、通算獲得賞金は2億円を超えた。166センチ、70キロ。血液型A。

◆山口幸二(やまぐち・こうじ)1968年(昭43)7月29日、岐阜県生まれ。競輪学校62期生で88年9月にデビュー。98年一宮オールスターでG1初制覇。同年のKEIRINグランプリ(GP)優勝。11年には選手会岐阜支部長を務めながら2度目のGP優勝。現役時代から「ヤマコウ」の愛称でファンを魅了した。通算成績は2040戦397勝。優勝43回。通算獲得賞金は13億7058万5354円。12年GPから日刊スポーツ評論家。